
エチオピア南部のゲデオ県とオロミア州西グジ県では、過去の民族間衝突や大規模な住民避難により、多くの人びとが住まいや生計手段を失い、地域社会における信頼関係も大きく損なわれてきました。帰還民、国内避難民、ホストコミュニティが同じ地域で暮らす中、資源や仕事をめぐる不安や不信感が残り、地域の平和は不安定な状態が続いていました。
グッドネーバーズ・ジャパンは、こうした状況を踏まえ、平和を持続させるためには、
・人びとが自分の力で生活を成り立たせられること【生計向上】
・異なる立場の人びとが再び信頼し合い、協力できる関係を築くこと【社会統合・社会的結束】
の両方が重要であると考えました。
本事業は、この2つを柱として、3か年計画の2年次として、2024年5月から2025年6月まで実施されました。
※本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

生活の糧が不安定な状態では、わずかな資源や仕事をめぐって緊張が生じやすくなります。そこで本事業では、農業や畜産を通じて、人びとが安定した収入を得られる状態を取り戻すことを、平和構築の出発点と位置づけました。
2年次では、1年次に始まった支援を基盤に、住民自らが考え、継続できる仕組みづくりを重視し、栽培技術や水管理、家畜の飼育・疾病対策などの研修を実施しました。 また、行政職員や農業普及員への研修も行い、地域の中で継続的に技術指導が受けられる体制を整えました。
| 主な活動内容 | 対象・裨益者数 |
|---|---|
| 種子・肥料・農具の提供(作物栽培に関する研修込み) | 480世帯(コチョレ郡・ガラナ郡の経済的に脆弱な農家世帯) |
| 灌漑用ウォーターポンプの配付(使い方の研修込み) | 300世帯(ゲデブ郡・コチョレ郡・ブレオラ郡・ガラナ郡の水源がある地域に住む脆弱な農家世帯) |
| 農業・畜産・気候変動に関する行政職員・普及員向け研修 | 150名(郡ならびに村の農業職員) |
| 1年次に家畜を配布した世帯への飼育・疾病管理の指導 | 258世帯(ゲデブ郡・ブレオラ郡) |
その結果、農業担当者が定期的に村を訪れ、継続的な技術指導を行うようになりました(過去1年間に4回以上の指導を受けた住民の割合は、事業開始時の約2%から約29%へと大きく増加)。行政側の対応力が高まったことで、農家が専門的な助言を日常的に受けられるようになり、事業終了後も生計向上の取り組みを継続できる環境が整ってきています。

また、1年次に羊・ヤギを受け取った世帯の9割以上で子どもが生まれ、67.1%の世帯が家畜の販売による収入を得ています。一方、養鶏支援では、72.9%の世帯で継続的な産卵が確認され、約半数の世帯が卵の販売によって日常的な収入を得ています。こうして得られた収入は、子どもの教育費や医療費、日々の食費の補填など、生活に欠かせない支出を支えています。また、家畜の再購入など将来に向けた備えにも活用され、暮らしを立て直す力となっています。こうした複数の収入源が重なり合うことで家計に余裕が生まれ、生活全体の安定につながっています。

生計が安定しても、人びとの間に不信感や分断が残ったままでは、平和は長く続きません。そのため本事業では、暮らしの回復と並行して、地域の中で人と人との関係を修復する取り組みを進めています。2年次には、住民自身が地域の課題について話し合い、行動に移す仕組みが少しずつ定着しました。平和委員会や女性平和委員会、若者グループ、学校、行政が関わることで、対話は特別なものではなく、日常の中で行われるようになっています。
| 主な活動内容 | 対象・裨益者数 |
|---|---|
| 平和委員会・女性平和委員会への研修と活動支援 | 324名(地域の平和委員会・女性平和委員会メンバー) |
| 住民と行政が参加する対話・協議の場(平和対話セッション) | 計14回/延べ460名(行政官、治安当局、宗教指導者、長老、女性代表、若者代表等) |
| 小学校の平和クラブへの平和構築研修 | 全15校/生徒3,720名(男子2,071名、女子1,649名) |
| 平和委員会主導の社会統合促進イベント | 約400名の参加者 |
| 小学校の教室増築 | 2校・計8教室(在校児童2,147名) |
本事業では、地域に根づいた平和の定着を目指し、平和委員会および女性平和委員会が中心となって、住民同士の対話の場づくりや、対立の兆しが見られた際の仲介活動が継続的に行われました。日常的な声かけや話し合いの仲介、誤解や噂が広がった際の情報共有などを通じて、問題が深刻化する前に対話による解決を図る取り組みが進められています。また地域で困っている人を助け合い、強い連帯感のある地域を作ることにも成功しました。
平和委員会・女性平和委員会への研修の議題の一例として、争いや事件が起きた際の対応手順について話し合われました。「まず村の長老や宗教リーダーが仲裁し、それでも解決しない場合は警察や行政に通報する」という役割分担が整理され、住民と当局の協力体制が具体的に話し合われました。
その結果、「有事の際は警察や治安当局に頼る」と回答した住民の割合は、事業開始時の17.6%から、1年次終了時には30.2%、2年次終了時には45.8%へと年々増加しています。
また、「過去1年間で行政と話し合いや相談を行う機会が増えた」と答えた住民は2025年には86.2%に達しており、対話による問題解決が地域に定着しつつあることがうかがえます。

こうした信頼関係の広がりと並行して、異なる民族背景をもつ子どもたちが共に学ぶ小学校2校において、計8教室の増築を行いました。これにより教室の過密状態が改善され、教員からは「子ども一人ひとりに目が届くようになった」といった声が聞かれています。
また、教室建設には地域の若者たちも参加しました。「一緒に学校を整える」という共同作業の経験が、民族や立場の壁を越えた絆を育むきっかけとなり、こうした歩みの積み重ねが、社会的な結束力を高める力となっています。

生計向上と社会統合は、それぞれ独立した取り組みではありません。安定した暮らしは、人びとに話し合いや地域活動に参加する余裕をもたらし、対話を通じて築かれた信頼関係は、生計活動における助け合いを後押ししました。この相互作用により、平和は外から与えられるものではなく、地域の中で育て、守っていくものとして根づき始めています。
特に、これまで家庭外での活動が限定的であった女性たちが地域の平和活動に関わるようになったことは、平和の持続可能性を高める重要な要素となっています。女性平和委員会のメンバーは、家庭や近隣で生じる小さな緊張を早期に察知し、対話のきっかけをつくっています。
また、平和委員会や学校の平和クラブは、金銭的支援に依存せず活動を継続しています。住民同士の話し合いの仲介、噂や誤解を正す声かけ、歌や演劇による平和メッセージの発信、地域清掃や共同作業など、日常の中で実行可能な活動を積み重ねています。こうした草の根の取り組みが、支援終了後も続く平和の基盤となっています。

本事業は2年次を終えましたが、現地では引き続き3年次の事業を実施中です。グッドネーバーズ・ジャパンは、現地パートナーであるグッドネーバーズ・エチオピアと協力しながら、これまでに育まれた力を土台として、人びとが主体となって平和を育み続けられるよう、今後も寄り添った支援を行ってまいります。
また、日頃より本事業を支えてくださっている皆さま一人ひとりの温かいご支援に、心より感謝申し上げます。皆さまからのご寄付は、対立を越えてともに生きる地域づくりを支える大きな力となっています。
【エチオピア 命をつなぐ支援】南スーダン難民およびホストコミュニティを対象とした生計向上・社会的結束促進事業が完了しました
【エチオピア 命をつなぐ支援】ソマリ州難民キャンプにおける自立支援事業が完了しました
【エチオピア 命をつなぐ支援】現地スタッフの想いから生まれた、支援の新たなかたち
【アフリカ系の人々の国際デー】エチオピアにて小学校を建設しました
【エチオピア】紛争を経験した子どもたちの平和への想い〈平和に共存する国際デー 前編〉
【エチオピア】畜産支援を受けて自立を果たしたアマレさん〈平和に共存する国際デー 後編〉
【教育の国際デー】エチオピアで子どもたちと一緒に平和を築くために
【国際平和デー】エチオピアでの平和構築事業について紹介します
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