世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2025.08.29 活動報告

【アフリカ系の人々の国際デー】エチオピアにて小学校を建設しました

新しい教室でのびのびと学ぶ子どもたち(2025年3月)

8月31日は「アフリカ系の人々の国際デー」(International Day for People of African Descent)として、国連に定められています。

この日は、アフリカ系の人々がこれまで経験してきた差別や人種主義、植民地主義、奴隷制度といった不正義を振り返り、その解消に向けた取り組みを進める日です。また、アフリカ系コミュニティの文化や貢献を称え、誰もが平等に尊重される社会をめざしています。

全ての人が取り残されない社会や平等な権利を実現するためには、社会全体の平等と安定が欠かせません。しかし、紛争や貧困は、一部の人々が公平な機会を得られない大きな要因となり、それが差別や不平等をさらに広げてしまいます。

こうした課題を受けて、グッドネーバーズ・ジャパン(以下GNJP)はエチオピアにて、紛争被災者への緊急支援や、経済的に厳しい状況にある家庭への生計向上支援に取り組んでいます。本記事では、その一環として、地域の子どもたちが安心して学べるよう、学校に新しい教室を増築した活動をご紹介します。  

※本活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の助成を受け実施しています。

ぎゅうぎゅうの教室で学ぶ子どもたち

エチオピアの子どもたちの多くは、十分な学びの環境に恵まれていません。10歳の時点で読み書きができない子どもは約9割にのぼり、初等教育を最後まで修了できるのは3分の2ほどです。中等教育に進める子どもはさらに少なく、学びの道が途切れやすい状況です。

またGNJPが支援している県では、紛争や自然災害で学校が壊されてしまったことも影響し、学校や教室の数が十分ではありません。1教室あたりの子どもの数は平均76人と、他のエチオピアの地域と比べても非常に多い状況にあります。さらに、多くの学校は泥や木で作られた簡易な建物で、窓は小さくて風通しも悪く、雨季には浸水やカビが発生するなど、集中して学習できる環境が整っていません。 

建設前の、狭くて窓の小さい教室(2024年8月)

こうした課題に応えるため、2023年からGNJPは、エチオピア南部のゲデオ県と西グジ県の4つの郡を対象に、学校の教室を増築する支援を行っています。2023~24年には1校、2024~25年には2校で新しい教室を建設しました。

教室が増えることで、過密な学習環境が改善され、子どもたちは自分の机にノートや教科書を広げて学べるようになります。また、先生の声が届きやすくなり、黒板もはっきり見えるため、授業に集中しやすくなります。

教育環境を整えることは、子どもたちの未来を切り開くだけでなく、地域全体の平等や安定、そして持続可能な平和を築く上でもとても大切です。学ぶ機会がきちんと保障されることで、子どもたちは知識や技能を身につけ、将来は平等な雇用や社会参加のチャンスを手にできます。こうした取り組みが、誰も取り残されない社会づくりにつながっていきます。

特にGNJPが支援するこの地域は、2018年に民族紛争を経験していますが、紛争から7年がたった現在では、異なる民族の子どもたちが共に肩を並べて学んでいます。そして民族に関わらず助け合いながら生きていく社会を目指しています。

建設中の学校(2024年10月)

みんなでつくった新しい学びの場

2024~2025年に建設したのは、ゲデオ県ゲデブ郡のバンコ・タタトゥ小学校と西グジ県ブレオラ郡のヘラ・クトゥ小学校で、それぞれ4つの教室を増築しました。増築前のバンコ・タタトゥ小学校は1教室あたり94人、ヘラ・クトゥ小学校は108人が学習していました。増築後はそれぞれ75人(約20%減)、64人(約40%減)と大幅に減り、過密な状況が改善しました。また、建設作業には学校近隣の若者200人以上が雇用され、地域にとって貴重な仕事の機会となりました。

グッドネーバーズ・ジャパンが増築した教室棟(2025年3月)

教室の机や椅子、黒板は支援対象外でしたが、地域の住民と現地政府が自主的に150セットの机と椅子、4枚の黒板を用意しました。子どもたちのために自分たちで準備する姿勢は、教育への関心や責任感の高さを示しています。地域の人たちが自分たちの手で教育環境を支えることで、学校は地域コミュニティの大切な場となり、外部支援に依存しない持続的な安定や平和の礎を作ることにつながっていきます。  

光の差し込む教室の中の新しく調達された机(2025年3月)

学校の引渡式

2025年3月4日、バンコ・タタトゥ小学校とヘラ・クトゥ小学校に新しく増築された校舎(それぞれ4教室)の引渡式が、バンコ・タタトゥ小学校で行われました。式には、それぞれの県の代表に加え、GNJPのエチオピア事務所代表、在エチオピア日本大使館の二等書記官も参加しました。式典では、現地政府や地域住民が民族ダンスやコーヒーセレモニーなどの伝統的な儀式で盛り上げ、子どもたちの新しい学びの門出を祝いました。

当日は、子どもたちの笑顔や教室に広がる活気が会場を包み、先生たちも新しい教室での授業に胸を膨らませていました。
本引渡式は在エチオピア日本大使館のホームページでも「Good Neighborsによる小学校校舎引渡しと平和構築への取組」として紹介されたました。
また、現地メディアであるSouthTVでも報道され、現地語での紹介となりますが、譲渡式の様子がよくわかる動画となっていますのでぜひご覧ください。
https://youtu.be/lhrYw1yBoCU?si=-gh6eiIdO9t9WKJQ 

引渡式の様子(2025年3月) 

子どもたちの未来に向けて 

GNJPが2023年から始めたこの取り組みで、今では約3,500人の子どもたちが、合わせて3つの小学校の新しい教室で学んでいます。さらに2025〜26年にかけてガラナ郡の小学校1校にも新しい教室を増築する予定です。これにより、さらに多くの子どもたちが快適な環境で学び、授業に集中して理解を深められるようになります。 

わたしたちは、8月31日の「アフリカ系の人々に対するあらゆる形態の差別や人種主義を終わらせる国際デー」に思いをはせながら、子どもたち一人ひとりの学びを支えることの大切さをあらためて確認しています。子どもたちへの支援は、学ぶ機会の平等を保障するだけでなく、平等で共生できる社会を築く礎にもなります。そしてそのような平等な社会で、差別や人種主義を経験することなく、子どもたちが笑顔で成長できるよう、これからも、皆さまの温かいご支援をいただきながら、活動を続けてまいります。 

完成した学校と現地駐在員(2025年3月)

関連ページ

【エチオピア】平和構築事業1年目を終了しました<前編>

【エチオピア】平和構築事業1年目を終了しました<後編>

【教育の国際デー】エチオピアで子どもたちと一緒に平和を築くために

【国際平和デー】エチオピアでの平和構築事業について紹介します

【エチオピア 命をつなぐ支援】新しく開始した平和構築事業の開会式を行いました


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