世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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水・衛生支援

日本では、水道の蛇口をひねると綺麗な水が出てきます。トイレは水洗式が普及し、清潔に保つことができます。しかし、世界には生活に必要な最低限の水を手に入れることにさえ苦労している人々がいます。
飲用に加え、料理、洗濯、皿洗い、入浴等、人間らしい生活を送るためにあらゆる場面で水は不可欠です。安全な水がないと、汚れた水やヒ素などの有害な成分の入った水を口にし、健康を害する危険性があります。
さらに、途上国にはトイレ等の設備が整っていない地域も珍しくありません。汚物が適切に処理されなかったり、下水を区別せずに料理や食器洗いにも使用したりと、非常に不衛生な環境で生活することになります。特に子どもへの影響は大きく、お腹を壊したり、コレラ等の水を媒体とした病気に感染し、時には死に至るケースもあります。

安全な水へのアクセスが確保されれば、健康被害が減るだけではなく、女性や子ども達が遠くまで水を汲みに行くという重労働から解放されます。水と衛生環境は、人々の健康と命、そして生活水準にも直結する大きな問題なのです。

世界の水・衛生環境

  • 安全な飲み水を確保できない人々が20億人います。そのうち、1億2,200万人は、湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用しています。
  • 36億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を使用できません。そのうち4億9,400万人は、家や近所に利用できるトイレがなく、道ばたや草むらなどの屋外で排泄を行っています。
  • 石けんや水の備わった基本的な手洗い設備が自宅にない環境で暮らしている人々が23億人います。

UNICEF/ Progress on household drinking water, sanitation and hygiene, 2000-2020: Five years into the SDGs, July 2021/2021

ユニセフ/ 水と衛生/ 2021

活動内容

水・衛生環境支援では安全な水へのアクセスを確保するため、様々な事業を行っています。

井戸、給水施設の建設

上下水道が引かれていない地域では、生活に必要な水を手に入れることが困難です。川などの水を使用する場合、汲みに行く労力が必要な上、環境破壊や生活排水により汚染されている可能性が高く、飲料水として適切とは言えません。
一方、清潔な地下水を汲み上げるためには井戸などの設備が必要ですが、経済的に余裕がなければ井戸を掘ることもできません。
このように安全な水へのアクセスが確保できない地域の人々は、水汲みの重労働や不衛生な水による健康被害といった様々な問題を抱えています。

グッドネーバーズは綺麗で安全な水を毎日必要な量確保できるよう、井戸や給水施設の建設を支援しています。地域の特性や住民のニーズに応じて適切な設備を支援し、長く使えるように住民主体の管理体制も整えます。

プロジェクト事例 バングラデシュ

バングラデシュ北部のタクルガオンは首都ダッカから車で8時間ほどかかる農村地域です。水道設備がないため、不衛生な池や川の水を飲むしかなく、腹痛や下痢に苦しむ子どもや、コレラに感染してしまう子どももいました。
グッドネーバーズは、この地域に新しい井戸を20基設置しました。このプロジェクトにより、100世帯、約500人の住民が安全で清潔な水を手に入れられるようになりました。
住民からは「遠くまで水を汲みに行く必要がなくなって嬉しい」「綺麗な水を使えるようになって、子どもがお腹を壊すことがなくなった」等と喜びの声が寄せられました。

プロジェクト事例 チャド

チャドの首都ンジャメナから220㎞離れた北東部の村、Keyseromは、学校も医療施設もない農村地域です。水道や浄水の設備もないため、不衛生な水を飲むしかなく、2013年には人口850人のうち25人がコレラにかかってしまいました。中には命を落としてしまった人もいます。
グッドネーバーズは住民たちが安全な水を手に入れられるよう井戸を建設しました。また、Keyseromと同様に、不衛生な水を口にしているためにコレラや下痢、腹痛に苦しんでいたErguena、Youngaにも井戸を支援。3地域で計2000人以上の人々が安全な水にアクセスできるようになりました。

浄水器の提供

世界には、池や雨水などの自然の水を利用して生活している国や地域もあります。浄水する手段がないため、飲料水や料理にそのまま使ってしまい健康を害するケースが多く発生します。
自然の水を安全に利用できるよう、グッドネーバーズは浄水器の提供も行っています。

プロジェクト事例 カンボジア

乾季と雨季があるカンボジアでは、季節により水の入手方法が変わります。乾季には家の近くにある水たまりから水を得、雨季には雨水を使います。しかしこの水たまりや雨水の様な、浄水されてない水を飲むと病気を起こす可能性が高く、大人では軽い下痢で終わるものも子どもでは脱水症をおこし命を落とす事もあります。
そこでグッドネーバーズは、住民の健康を守るため浄水器の支援を決定。地域住民で構成された地域開発委員会の会議により対象者となった家庭に浄水器を支援し、2011年には浄水器1000台を1000世帯に提供しました。

トイレ・衛生設備の建設

衛生設備が備わっていない地域では、汚物や下水がきちんと処理されないため生活環境全体が不衛生になってしまいます。また、女性にとっては特に、室外で用を足さなければならない状況は、治安の面でも問題です。
グッドネーバーズは、皆が安心して清潔に使える衛生設備を建設しています。公衆トイレや水浴び場など、住民と協議の上で地域の習慣に沿った物を支援します。設備を正しく使用し管理することで、住民の衛生に対する意識が高まる効果もあります。

プロジェクト事例 インドネシア

インドネシアのスマトラ島にある、西アチェ州のパシイ・ジュンパ村は、住民の大半が農業に従事する農村地域です。多くの家庭にはトイレも水浴び場もないため、住民は川を使用していました。木とビニールシートで川の上に作ったトイレで用を足し、排泄物が流れ込んだ川で食器や体も洗うような状況で、皮膚病の患者が出たり、慢性的に下痢の症状を訴える子どもも少なくなくありませんでした。

この状況を改善するため、グッドネーバーズは村の150家庭に安全で清潔な水場を支援しました。インドネシア農村部で一般的に使われている「MCK」と呼ばれる公衆水場で、水浴び(現地語でMandi)、洗濯、皿洗い(Cuci)、トイレ(Kakus)の3つの機能を兼ね備えた設備です。
MCKの設置と合わせて、住民たちに設備の使用・管理方法や衛生の知識を伝える授業も行いました。
このプロジェクトにより、村の衛生環境が大幅に改善されただけでなく、男女別の室内でトイレや水浴びをできるようになり、女性や子どもにとっては治安面でも安全が確保されました。

家族みんなで使える、安全で清潔なMCK
MCKの中の様子
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