【エチオピア】畜産支援を受けて自立を果たしたアマレさん 〈平和に共存する国際デー 後編〉

5月16日は、国際連合が定めた「平和に共存する国際デー(International Day of Living Together in Peace)」です。これは国や文化の違いを超えて多様性を尊重し、対立をなくし、平和や連帯、調和を呼びかける日です。
この日に合わせ、グッドネーバーズ・ジャパンがエチオピア南部で実施している平和構築事業の取り組みを2回にわたって紹介します。
後編では、生計向上に焦点を当て、畜産支援を受けて自立を果たし、地域の平和的共生に貢献する人々の声を通して、グッドネーバーズ・ジャパンの支援が、経済的安定と平和の実現にどのように繋がっているのかをご紹介いたします。
平和教育活動に焦点を当てた「前編」はこちらからご覧ください
※本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。
多様な収入源で未来を築くアマレさん
南エチオピア州のゲデブ郡ゲリチャ・ケベレ村に、グッドネーバーズ・ジャパンの支援によって人生を切り開いた男性がいます。家族4人と暮らしながら、両親や兄弟姉妹の生活も支えているアマレさん(仮名・36歳)です。
「私たちの村は、今は平和で、気候も良く、道路や電力も整っています。しかし、どんなに努力しても貧困の壁を越えることはできませんでした」とアマレさんは語ります。紛争後に貧困から抜け出す方法を模索していた彼に転機をもたらしたのがこの畜産支援でした。
グッドネーバーズ・ジャパンは、畜産支援や農耕支援など、生計を向上するための支援を平和構築支援の大きな柱としています。貧困や生活の苦しさが続くと、資源を巡る争いが生まれやすく、民族間の対立も深刻化してしまうからです。一方で安定した収入は、経済の発展に繋がり、異なる民族が共にビジネスを行い、地域全体の発展にも寄与する可能性が生まれます。こうした経済的な結びつきは、平和のための強固な土台を作るだけでなく、各民族が共に発展し、地域社会が共生することに繋がるのです。
2023年10月、アマレさんは、グッドネーバーズ・ジャパンが開催した家畜管理に関する研修に参加し、知識を深めてから、3頭の羊(オス1頭・メス2頭)を受け取りました。支援を受ける前は「羊を一頭も持っていませんでした」と彼は振り返ります。
(※経済状況や家畜の飼育経験、その他の条件を確認し、最も支援を必要としている人が対象者として選ばれます。)
羊たちは順調に繁殖し、2024年12月までに2頭のメスと1頭のオスが生まれました。オスは繁殖しないため、7,000ブル(約8,400円)で売却され、その資金でアマレさんは、追加のメスの羊を5,000ブル(約6,000円)で購入しました。さらに、残りの2,000ブル(約2,400円)でトウモロコシの種を購入し、0.5ヘクタールの農地で育てています。

順調に育てば、1,400キロの収穫が見込まれており、販売額にすると84,000ブル(約100,800円)になります。アマレさんはトウモロコシを育てることで家族が安心してご飯を食べられる毎日を目指しています。
アマレさんは「私の夢は、繁殖して増えた羊を売って乳牛を購入することです」と語ります。事業地域では、乳牛は、ローカルの種類で約40,000~80,000ブル(約48,000~96,000円)の価値があります。乳牛はミルクを作り出すだけでなく、資産と考えられているため、彼の夢は単なる畜産の発展にとどまらず、貯蓄による生活の安定へとつながる大きなステップです。

現在のアマレさんの月収は約4,000ブル(約4,800円)。教育費や医療費をまかなうにはまだ十分ではありませんが、彼は諦めません。「支援を受けられたおかげで、私は家族の未来を築くための新たな可能性を手にしました」と語り、前進し続けています。
グッドネーバーズ・ジャパンの活動
アマレさんが暮らすゲデオ県と西グジ県の県境地域は、2018年の民族紛争によって甚大な被害を受けました。この地域は元々、社会サービスや基礎インフラの開発が遅れており、貧困の課題を抱えていましたが、紛争により財産や生計手段を失った国内避難民や帰還民が多く、さらに近年の干ばつや武装勢力の影響により、多くの人々が農地や家畜を失い、生計の維持が困難になっています。

本事業の1年次には、アマレさんだけではなく、258世帯が同様の支援を受けました。すべての人に対して、家畜の健康管理やエサの与え方、繁殖の方法など、畜産を安定して続けるための基礎知識を学ぶ3日間の畜産技術研修を実施しました(2023年10月)。研修の後、258世帯にヤギ、羊、鶏、もしくは養蜂箱セットを配布し、各家庭が収入を得られる仕組みを作りました(2023年11月から2024年4月)。家畜の配布後も、10世帯ごとの貯蓄グループを作ることで、家畜の病気や急な出費に対応できるような仕組みづくりや、ワクチン接種や飼育環境の確認など、支援を続けています。
※2023年3月から2024年4月に実施した「1年次の事業報告まとめ」はこちらからご覧いただけます。
さいごに
5月16日の「平和に共存する国際デー」にあたり、平和と共生をテーマに、地域社会の安定と発展に向けた支援を二回に分けて紹介いたしました。後編では、生計向上を達成したアマレさんの声をご紹介しましたが、他にも支援を受けた住民の方から「私だけでなく、他の多くの家庭がこのような支援を受けられれば、地域全体が発展するでしょう」と、地域全体の安定を望む声が届いています。
平和で持続可能な未来を築くためには、私たち一人ひとりの思いと協力が不可欠です。平和に共存する国際デーに、この世界をもっと平和にするために、私たちができる小さな一歩に思いをはせてみませんか?あなたの温かい支援が地域を変える力となります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
※ 本文中に記載の為替レートは2025年5月時点のものです。
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