【モザンビーク サイクロン】2つのヘルスセンターが開業、活動終了のお知らせ
モザンビーク共和国中央部に位置するソファラ州は、2019年3月のサイクロン・イダイ上陸により、洪水や建物の屋根が剥がれるなどの甚大な被害を受けました。多くの被災者が住む場所を失い、政府が設置した再定住地へ移住しましたが、その再定住地には病院や学校といった公共サービスが十分に整備されていません。
グッドネーバーズ・ジャパンはソファラ州ニャマタンダ郡にある、2つの再定住地(Ndejaと7 de Abril-Cura)にて、ヘルスセンターの建設および無償のコミュニティ・ヘルス・ワーカーの育成事業を通し、住民の保健医療サービスへのアクセスの改善を目指し活動しました。
※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

ヘルスセンター建設
ヘルスセンターがついに開業
2022年3月、ニャマタンダ郡の2つの再定住地で建設していた、保健医療施設であるヘルスセンターが完成しました。一般外来の診療室と処置室に加え、妊婦さんが出産に備えるために入院する病室と分娩室を完備したヘルスセンターです。
以前は通える距離にヘルスセンターが無く自宅で出産する事も珍しくありませんでしたが、このヘルスセンターにより、遠くから通う妊婦さんたちも出産が近くなったら入院し、安全な出産に向けて準備できる体制を整えました。また、そこで働く医療スタッフが24時間体制で対応できるよう、医療スタッフの宿舎も備えています。


これまで、Ndeja再定住地では、サイクロン・イダイの直後に緊急支援で設置された仮設の病院が約3年間稼働していました。仮設のため、待合のスペースは充分ではなく、いつも多くの患者が所狭しと治療を待っていました。またCura再定住地は、ニャマタンダ郡の郡病院が比較的近い場所にあったため、Ndejaのような仮設の病院はありませんでした。
2つの再定住地でヘルスセンターが完成した事により、地域住民にとって充分な設備が整った病院までの距離が格段に近くなり、より簡単に保健医療施設に行けるようになりました。

事業開始前の2ヶ月間(2021年2-3月)の既存の医療施設の利用者数と、建設したヘルスセンター開業後2ヶ月間(2022年4-5月)の利用者数を比べると、どちらの再定住地でも利用者数が伸びていることが分かります。(Curaの事業開始前の利用者数は、ニャマタンダ郡病院にCuraから通院した人の数を集計)
Cura再定住地から比較的近い場所に郡病院があったとはいえ、通院には交通費もかかる事などを考え躊躇する人も多くいましたが、病院までの距離が近くなったことで、大きく利用者数が伸びました。Ndejaでは、充分な施設が整った病院が完成したことで利用者数が伸びました。
ソファラ州への譲渡式
3月末、それぞれの再定住地にて、ヘルスセンターを正式に現地政府であるソファラ州へ譲渡する式典を執り行いました。この譲渡式には、在モザンビーク日本国大使館より駐モザンビーク日本国大使である木村大使にもお越し頂きました。ソファラ州知事と木村大使が参加する式典となり、現地警察の警備も同行したため、再定住地は緊張した雰囲気となりましたが、木村大使のスピーチの際には拍手や笑いが起き、会場が和やかな雰囲気に包まれました。


式典では、地域住民によるダンスや歌のパフォーマスも行われ、当事業で育成したCHW(コミュニティ・ヘルス・ワーカー)やヘルスセンターの建設作業員、さらには完成したヘルスセンターで働く医療スタッフが一緒に手を取り合って踊る一幕がありました。この事業に関わる全ての方たちが、ヘルスセンターの開業を心から喜び、祝っている事を感じられる場面でした。

2022年3月30日を持ちまして、グッドネーバーズ・ジャパンのモザンビーク共和国ソファラ州ニャマタンダ郡でのヘルスセンターの建設および無償のコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)育成事業は終了となりました。 これまでご関心をお寄せいただきました皆様、ありがとうございました。
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