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2022.06.14 人道支援

【モザンビーク 紛争】「愛する人を失うのはとても簡単」避難民のインタビュー

2017年10月以降、モザンビーク共和国北部カーボ・デルガド州において、断続的に武装勢力による襲撃が続いています。グッドネーバーズ・ジャパンは、2021年12月から、同州の国内避難民が生活する再定住エリアおよび避難民を受け入れるホスト・コミュニティ居住地を対象として、水衛生支援事業を行っています。

今回は、自身も被災者でありながら、現地で衛生習慣の啓発に取り組むラデ・アブダラ・アンラネさんに話を聞きました。

※当事業はジャパン・プラットフォームのモザンビーク北部人道危機対応助成事業です。

ラデ・アブダラ・アンラネさん、31歳

ラデ・アブダラ・アンラネさんはカーボ・デルガド州中西部のキサンガ郡のナトゥーゴ村で2人の弟と3人の妹を持つ長男として、農家の両親に育てられました。2015年に結婚し、現在は8歳と5歳の女の子の父親です。好きな食べ物は米と肉だと素朴な笑顔で教えてくれた彼ですが、避難民として非常に不安定な暮らしを送っています。

ラデ・アブダラ・アンラネさん

この戦争で学んだのは、愛する人を失うのはとても簡単だということです。」

カーボ・デルガド州では、2017年10月から2022年5月までに推計で1,251件の政治的武装勢力による襲撃、それによる4千人以上の死者(うち半数近くが一般市民を標的とした襲撃による死者)(Cabo Ligado,2022年3月)が確認されています。またラデさん一家のように現在も避難生活を余儀なくされている人口は78万人以上に上ります(IOM, 2022年2月) 。

最愛の家族とともに

2021年2月、ラデさん一家は多くの若者、老人、子どもたちと一緒に、カプラナ(アフリカ柄の布)の袋に必要なものを詰めて、キサンガ郡からメトゥージェ郡まで約80キロの道のりを24時間かけて歩いて逃げてきました。故郷を離れる決意をしたその時の状況について彼は深呼吸して言いました。

「キサンガを離れたかったわけではないんです。家々が焼き払われ、ドミンゴスという友人が、テロリストに捕まったときに心を決めたんです。彼らは私の友人を刺し、切り刻んだのです……」

過去の記憶を語るラデさん

彼の一家は、メトゥージェ郡のマノノ小学校に作られた一時避難所に1ヶ月間滞在しました。「最初の2、3日は何もなく、飢えに苦しみましたが、その後政府が少しずつ食料を配り始めました。」

2021年3月23日、ラデさん一家は現在、約550世帯2400人が暮らしているナトゥーゴ再定住地区に送られました。

私たちがナトゥーゴに到着して以来、政府は私たちをよく助けてくれています。」

しかし自分の土地で農業を行い、ヤギやアヒル、ニワトリの飼育を続けてきた彼にとって土地を離れて暮らすことは収入を失うことを意味します。

彼は再定住エリアに着いてから、農業によって生計を立てようと試みましたが、ホストコミュニティの住民が土地の所有権を主張したため、避難民による農業活動や木の伐採は許されませんでした。しかし生活のために隠れて木の伐採を行い木炭を生産し、月々1500メティカル(約3000円)の収入を得ていました。 モザンビーク政府が定めた労働基準法による農家の最低賃金が、月々約1万円であることを鑑みると、これだけでは到底生活は成り立ちません。

「娘たちには、ここではなく、キサンガで育ってほしい。ここでは戦争から逃れた人たちとして常に辱めを受けるからです。すべてのものにすでに所有者がいて、私たちの所有物はなにもないからです。」

と彼は怒りと失望を露わにしました。

収入面以外でも再定住地区での生活には苦難が付きまといました。

2022年3月に故郷に戻った実の父親とは連絡がつかず、安否がわからないと言います。

さらに、ひどい下痢症状に苦しむ次女を保健センターに連れて行ったところ、慢性栄養失調の疑いを指摘され3日間の治療を要したのも最近のことです。現在は回復していると安堵の表情を見せるものの、5歳未満の子どもの43%が深刻または中程度の発育不良であるモザンビーク(UNICEF, “Water, sanitation and hygiene (WASH)”)では栄養失調で命を落とすことも珍しくありません。また世界中で見てもいまだに安全な水があれば防ぐことのできる下痢やマラリアなどの感染症が、5歳未満児死亡の主要な原因となっています(UNICEF 2021年12月 ”Under-five mortality”)。

娘たちが生まれたときが人生でいちばん幸せな瞬間だったと話した彼は、母親、兄弟、妻そして娘が無事に再定住エリアで生活していることは幸運なことで、どんなことがあっても家族とともに過ごせる時間をあきらめないと、強いまなざしを見せました。 

衛生啓発プロモーターへ

1年弱の厳しい生活のあと、彼はコミュニティリーダーから声を掛けられ、グッドネーバーズが実施するプロジェクトで衛生啓発プロモーターとして活動を始めました。女性5人、男性4人の計9人を率いるチームリーダーとして、他の89人のプロモーターとともに、手洗い、水の処理と貯蔵の仕方、トイレの使用と維持管理の重要性、月経衛生管理、水感染病予防や廃棄物処理など、地域の衛生習慣を啓発する役割を担っています。

衛生啓発プロモーターとして活動するラデさん

「キサンガに戻りたいけど、故郷でもこの活動を続けられたらもっと幸せ!」

と笑顔で語るラデさんは、下痢やマラリアの原因となる水の衛生状態の悪さや、高齢者に多い野外排泄などの問題が、衛生促進活動や衛生キットの配布によって改善されたことを嬉しそうに説明してくれました。

そして最後に、私たちの目を見て、「このプロジェクトのおかげで、地域は大きく改善されました」と感謝の言葉を述べました。

彼が暮らすントコタ地域と、その周辺のナミナウェ地域の約1万5千人を対象に、グッドネーバーズは水施設や家庭用トイレの建設、せっけんや月経用ナプキンを含む衛生キットの配布を行っています。

グッドネーバーズによって配布された衛生用品を受け取る避難民の女性
衛生用品を準備する衛生啓発プロモーターたち
グッドネーバーズによって制作された家庭用トイレ
グッドネーバーズによって建設中の給水施設

いつ家に帰れるのか、置いてきたものが全部見つかるのか、考えを巡らせるだけで不安なことがたくさんあるといいます。しかし彼は、同じ境遇の仲間に対していつか状況が好転して、みんな家に帰れるようになると信じてと励まし続けています。

ラデさんを含む避難民のみなさんが、水衛生環境の改善を通して健康と安全な暮らしを得られるように、グッドネーバーズは支援を継続してまいります。


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