世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

*
2024.12.26 活動報告

お腹が空いていることが“普通”だった日々・・・  「グッドごはん」を利用し始めてから、ある父親に訪れた変化とは ~グッドごはんを継続的に利用する人へのインタビュー~

グッドネーバーズ・ジャパンは、日本国内の子どもの貧困対策として、ひとり親家庭への食品支援事業「グッドごはん」を運営しています。
当団体は、グッドごはんを利用する家庭に寄り添った支援を行えるよう、利用者の声を聞くことを大切にしています。今回グッドネーバーズ・ジャパンのスタッフが、自宅で療養中の妻の介護をしながら(※)3人のお子さんと暮らす利用者のNさん(50代・男性)へインタビューを行い、Nさんが継続的にグッドごはんを利用してきた中で感じるご家庭での変化や、グッドごはんへの印象などについてお話を聞きました。

※グッドごはんでは原則として、所得限度額内の世帯に対し自治体から交付される「ひとり親家庭等医療費助成制度医療証」を所有する方を対象に食品をお渡ししています。同医療証は離別によりひとり親家庭となった場合のほか、配偶者(子どもの父または母)が重度の障がいを有している場合等に交付されるケースがあります。

インタビューの様子


――最初はどのようなきっかけで、グッドごはんを知りましたか。

Nさん 区役所で教えてもらいました。それですぐに登録をして、2018年の春からグッドごはんを利用しています。


――初めて食品を受け取った時は、どのような気持ちでしたか。

Nさん 本当に子どもたちのおやつに手が回らない状態だったので、ちょっとしたゼリーなども入っていて、「よかった」と思いました。


――このインタビューの事前アンケートで、「おやつを食べられるようになって、子どもが学習に意欲的になってきた」と書かれていましたね。

Nさん はい、おやつみたいなものを子どもに食べさせることが難しかったものですから。今もそこまで買ってあげられるわけではないので、グッドごはんで頂くと「今日、おやつ食べられるの?」と、子どもが嬉しそうにしています。


配付食品の例


「自分しかいない」と、踏ん張ってきた

――今はどのようなお仕事をされているのですか。

Nさん 飛行機の客室清掃をしています。日中に妻の介護をするため仕事は夜に行っているのですが、19時半くらいに家を出て、残業がなければ朝の9時半頃に帰宅する生活です。


――お仕事から帰ってきた後、ご家族の介護をされているのですね。

Nさん はい。妻は心の病気を抱えていて、誰かが常にそばで見ていなくてはならない状況です。
実は私たち家族は以前東北で暮らしていたのですが、2011年の東日本大震災を経験しました。それが直接的な原因かは定かではありませんが、震災で怖い思いをした後から、妻の体調が悪くなりました。その前までは全く普通に過ごしていたのですが・・・。
それで東北で治療を受けるようになったのですが、妻の主治医の職場が東京へ移ることになった関係で、私たちも2011年に東京へ引っ越してきました。


――そうだったのですね。慣れない東京での暮らしには、ご苦労もあったのではないでしょうか。

Nさん 東京は家賃が高いですね。東北に住んでいたとき、私は公務員として働いていたのですが、こちらに引っ越してきた頃は妻の病状のこともあり、私が就職できる状態ではありませんでした。それなのに、出費は増えて。
今は仕事をしていますが、収入は手取りで20万円を切るくらいで、東北にいた頃と比べると、半分以下の収入です。貯金も崩れる一方ですね。
そんな中で、自分自身、何度もくじけかけていました。ただ、自分しかいないし、自分がやらなきゃ誰がやるんだって、踏ん張ってきました。子どもたちの寝顔を見ながら、やるしかないなって。


食べ物に不自由しないということが、気持ちの安らぎに

――大変な状況の中、グッドごはんを利用され始めたのですね。
インタビューの事前アンケートで、グッドごはんを利用する前後での変化として「食事をとる回数が増えた」「栄養バランスが改善した」という点を挙げられていましたが、まずはグッドごはんを利用される前の様子についてお聞かせいただけますか。

Nさん まずは子どもたちに食べさせなきゃというのが前提だったので、子どもたちには3食ですが、自分の分まで手が回りませんでした。病気の妻の分を作って、子どもたちの分を作って・・・とやっている間に、自分の分はいいやと。一日1食で済ませたりしていました。


――さしつかえなければ、Nさんはどのようなものを召し上がっていたのですか。

Nさん パンとかですね。家に買い置きしておいたのをまず子どもたちが食べて、「1切れ残っているから食べよう」といった感じで。お腹が空いているのが普通でした。


――グッドごはんを利用されるようになってからは、いかがでしょうか。

自分が食べられるようになったというのは大きいです。ご飯を炊いて、ちょっとした一品もののおかずを作ったりして食べています。
食べ物に不自由しないということで、多少余力が出てきて少し気持ちも落ち着きますし、まだ頑張れるなぁと思えます


――Nさんご自身も食べられるようになったのですね。

Nさん グッドごはんには、本当に助けられています。食に対する不安がなくなりました。どう言葉を尽くせばいいのかわからないですが、いつも感謝しています。


――グッドごはんが少しでもお役に立てていれば、嬉しく思います。今、一番下のお子さんは高校生で育ち盛りですね。

Nさん そうですね。一番下の子は、将来手に職をつけたいと言って、自動車整備の資格取得を目指して高校で頑張っています。
上2人の子どもは大学に通いながらアルバイトをして、それぞれ学芸員や経営者になりたいという夢をもって勉強しているんですよ。


――素敵な目標ですね。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。



今回は、グッドごはんを継続的に利用するNさんへのインタビューをお届けしました。
インタビューを通じ、さまざまなご事情でグッドごはんを利用する方がおられること、そして、利用者のお一人お一人に、日々の生活や大切なご家族の存在があることを改めて感じました。
私たちグッドネーバーズ・ジャパンは、グッドごはんを通じて利用者の皆さんの暮らしに少しでも寄り添えるよう、今後とも活動を続けてまいります。どうか引き続き、温かい応援をよろしくお願いいたします。


関連記事

グッドごはんをきっかけに、「一人ぼっちじゃない」と思えた息子 ~グッドごはんを継続的に利用する人へのインタビュー~

不安と孤独に襲われていた私が出会った「グッドごはん」 | 利用してからの変化と暮らし ~グッドごはんを継続的に利用する人へのインタビュー~

「こころが強くなれた」 グッドごはんを継続的に利用する人へのアンケート: 利用以降 98%が家庭でのポジティブな変化を実感

グッドごはんについて                                   

絞り込み

カテゴリー

  • すべて
  • お知らせ
  • 活動報告
  • 人道支援
  • 現地スタッフから
  • キャンペーン・イベント
  • メディア掲載
  • プレスリリース
  • 未分類

活動地域

  • すべて
  • ガザ
  • レバノン
  • インド
  • カンボジア
  • ネパール
  • バングラデシュ
  • エチオピア
  • チャド
  • モザンビーク
  • ウクライナ
  • 日本
  • その他

年代

  • すべて
  • 2025
  • 2024
  • 2023
  • 2022
  • 2021
  • 子どもサポーターになりませんか?
  • キモチと。