熊本地震から1か月が経ち、被災した地域では、少しずつ日常を取り戻す動きが始まっています。一方で、未だに自宅に戻れなかったり、子どもたちにとってこれまで当たり前だった学びや遊びの時間が充分に過ごせなかったりと、大人たちだけではなく、子どもたちの生活にも大きな影響が残っています。
本記事では、現地で支援にあたるグッドネーバーズ・ジャパン(GNJP) 災害対応チームの立野より、「こどもひろば」での活動の様子をご報告いたします。
※本事業は、一部ジャパン・プラットフォームの助成を受け実施しています。

震災後、子どもたちの居場所となっていた護念寺さんでは、宿題をしたり、友達と遊んだり、おしゃべりをしたりしながら、それぞれの時間を過ごしていました。私たちは住職さんと相談し、この温かな居場所を「こどもひろば」と名付け、8月24日から31日までその活動をサポートさせていただきました。
お弁当の提供で、食の安心と保護者の負担軽減を
サポートを開始した当初、炊き出しがない日は、各家庭で用意したお弁当を持参したり、避難所から通う子どもたちは支援物資を食べたりしていると伺いました。また、断水が続いている家庭もあり、片付け作業も終わらないままでの出勤等で子どもたちを見守ることが難しく、毎日の昼食を用意することも、簡単ではない状況でした。
こうした現地の状況を受け、子どもたちが安心して食事をとれる環境を整えるとともに、保護者の方の負担軽減のため、社会福祉法人グリーンコープさんの協力を得て、お弁当の提供を行いました。
お弁当提供の案内をLINEで配信した際には、「大変助かる」といった声が寄せられ、多くの保護者の方々から感謝を示すスタンプも届きました。
不安を和らげ、夏休みの楽しい思い出を
震災後、子どもたちからは「夏休みの予定がなくなった…。地震のせいで…。」と残念そうな声が聞かれました。そこで私たちは、日常とは異なる生活が続く中、子どもたちがほっと一息つき、夏休みの楽しい思い出をつくれるよう、毎日ミニイベントを企画しました。

スイカ割りやバドミントン体験、オリジナルすごろく作り、宝探しのほか、特定非営利活動法人HuMAさんの協力によるキャンピングカー体験や、認定NPO法人日本レスキュー協会さんの協力によるセラピードッグとの交流などを開催しました。
こどもひろばには、子どもたちの笑い声が響き、遊びに夢中になる姿が見られました。

災害が起きると、大人たちは生活を立て直すために、さまざまな対応に追われます。 子どもたちにとっては、友達と遊んだり、思い切り笑ったり、夢中になって何かを楽しんだりする時間も大切です。そうした時間は、地震への不安や恐怖を抱える子どもたちが、少しの間でもその不安から離れ、安心して過ごすことにつながります。
「また来てね」
夏休み最終日。子どもたちから「次いつ来るの?」「また来てね」と声をかけてもらいました。
毎日お孫さんを連れて通っていた方は、「1か月、あっという間だった」と話してくださいました。また、「(お盆もあったけれど)まだお墓の中を見てないんだよね。壺も割れているだろうけど、怖くて見られないよ」とも話してくださいました。
保護者のみなさんも、さまざまな思いを抱えながら過ごしてきた1か月でした。「こどもひろば」では、子どもたちが一緒に遊ぶ姿をきっかけに、保護者同士が自然に会話を交わす場面も見られました。子どもたちの存在が、人と人をつなぎ、被災した方同士が互いに言葉を交わすきっかけにもなっていたのです。

こどもひろばでは、子どもたちが一緒に昼食をとる時にいつもこんな言葉を合唱していました。
「多くのいのちとみなさまのお陰により、このご馳走を恵まれました。深くご恩をよろこびありがたくいただきます」
この言葉と子どもたちの笑顔は、今も深く印象に残っています。
そして、より私の心に残っているのは、副住職さんがよく口にされていた「おたがいさま」という言葉です。
護念寺には、地域の方々を支えるために多くの支援物資が集まっていました。被災された方々が必要なものを受け取るだけでなく、「これは自分のところにはあるから」と、お互いに足りないものを分け合う姿も見られました。護念寺は、支援物資が集まる場所であると同時に、地域の方々が支え合う拠点の一つにもなっていました。
活動を通じて、私たちも多くの方々の思いやりや支えに触れる機会がありました。そのたびに副住職さんの「おたがいさま」という言葉を思い出し、被災した地域の中で、人と人が支え合うことの意味を改めて考えさせられました。
地域に根差した護念寺さんの活動に、私たちも少しでも力になれていたらうれしく思います。子どもたちからもらった「また来てね」という言葉は、「こどもひろば」が子どもたちにとって大切な時間や場所になっていたことを感じさせてくれました。

今回の「こどもひろば」の活動を通じて、災害によって変化した日常のなかで、子どもらしく過ごせる時間を届けられたのではないかと思います。
子どもたちが安心して過ごせる時間を取り戻すことが、災害からの日常の再建に向けた一歩につながればと願っています。

発災から時間が経つにつれて、必要とされる支援は変化していきます。私たちは、引き続き現地の声に耳を傾け、その時々に必要とされる支援を届けてまいります。
みなさまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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