世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2023.05.26 活動報告

【モザンビーク 水衛生】対象地域で野外排泄ゼロを達成

グッドネーバーズ・ジャパンは、モザンビーク共和国ガザ州にて、地域住民が衛生的な環境で暮らせるよう、安全な水や清潔なトイレを整備する「ガザ州3郡におけるコミュニティの水衛生設備整備および衛生啓発活動事業※」を実施しています。

3か年計画の内1年次は、ガザ州マサンジェナ郡にて給水施設と学校トイレの建設、世帯トイレの普及および野外排泄ゼロを達成するための衛生啓発活動(CLTS=Community–Led Total Sanitation)、そして地域住民の給水施設と学校トイレの維持管理能力の強化を行いました。 


※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

1年次の活動成果

給水施設の建設3基(データ対象3地域)

・必要な時に安全な水にアクセスできると答えた住民の割合が、18%から93%に増加

・30分以内に水汲みができる割合が、18%から99%に増加

学校トイレの建設10基(データ対象10校)

・学校のトイレを安心して使えると答えた生徒の割合が、71%から93%に増加

・学校にいるときに野外排泄をしていないと答えた生徒の割合が、74%から83%に増加

CLTS活動(データ対象7地域)

・対象全7地域で野外排泄ゼロを達成

・世帯トイレの所有率が、42%から84%に増加

・2週間以内に下痢になった住民の割合が、24%から15%に減少

給水施設

2023年2月、ガザ州マサンジェナ郡の3つの地域で建設していた給水施設が完成しました。

干ばつの影響を受けやすいガザ州において、乾季にも十分な水量を供給できるよう、100m以上掘削し、乾季でも干上がらない深い地水層から水を汲み上げる高出力のポンプを使用し、20,000Lの貯水タンクを備えた給水施設です。

建設した給水施設を適切に使い続けられるよう、水衛生委員会を結成し、グッドネーバーズが現地政府とともに施設の管理・運営に関する研修を実施しました。研修に際して、現地政府と協力し運営管理マニュアルを作成し、委員会メンバーが簡単な修理を行えるように必要な工具とともに、各水衛生委員会へ配付しました。

マニュアルと道具を配布
ソーラーパネルのコントローラーの操作方法を説明

給水施設を建設した3地域では、人々の生活はどのように変化したでしょうか。

以前は多くの地域住民が2~3時間もしくは把握出来ないくらい長い時間を、水汲みに費やしていましたが、現在はほとんどの住民が30分以内で水汲みをできるようになりました。特にシトゥレ地域やンゴマネ地域ではため池や川から水を汲んでいましたが、現在はグッドネーバーズ・ジャパンが建設した給水施設から水を汲めるようになったので、必要な時に安全な水にアクセスできると答えた住民の割合が、18%から93%と大きく増加しました。

完成した給水施設
水汲み場の周りには家畜から守るための柵を設置

ンゴマネコミュニティに暮らす52歳の女性、フローラさんは農業に従事する夫と8人の子どもと一緒に生活をしています。

インタビューに応じてくれたフローラさん

フローラさんは、給水施設ができる前の生活をこう振り返ります。

「この地域に給水施設が設置される前は、長女と一緒に毎日2-3時間かけて、5km離れた場所にあるため池で水を汲んでいました。このため池では、牛やヤギなどの家畜も水を飲んだり用を足したりしており、汲んだ水が不衛生である事は分かっていました。しかし、ほかに水を汲める場所が無かったため、このため池の水を洗濯や料理に使用していました。子どもたちは頻繁に腹痛を訴え、下痢になっていました。」

給水施設ができてからはどうでしょう。

「給水施設が完成してからは、子どもたちは下痢にならないから安心です。また、水を汲みに行くのに要する時間も格段に減ったため、家族や友人と一緒に過ごす時間や休憩する時間が増えたり、夫の農作業を手伝ったりすることができています。 必要な時に水を供給してくれるこのインフラを私たちのコミュニティに建設してくれたグッドネーバーズ・ジャパンに感謝しています。」

学校トイレ

2023年2月、建設した学校トイレの引き渡し式を実施し、学校の生徒たちがトイレを使い始めることができました。

学校の教員だけでなく、生徒たちも引き渡し式に参加

引き渡し式から10日ほどたった頃、学校を訪れてみると、生徒たちが新しいトイレを使い、元気に過ごしていました。学校のトイレを整えることで、生徒たちは学校近くの草むらで野外排泄をしたり、時間をかけて家に帰ったりする事なく、集中して勉強ができるようになりました。

キラキラの笑顔を見せてくれた生徒

グッドネーバーズの調査によると、学校トイレの建設前は学校のトイレをいつでも使っていると応えた生徒は85.92%だったのに対し、建設後には97.75%に増加し、我慢できない時にだけ使うと応えた生徒は5.92% から0.85%に減りました。さらに安心して学校トイレを使えると応えた生徒は、71%から93%に増加し、以前は25%の生徒が学校にいるときに野外排泄をしていたが、16%に減りました

CLTS活動、家庭トイレの整備 

野外排泄ゼロを達成するためのCLTS活動の様子についてはこちらの記事をご覧下さい。

2023年5月、CLTS活動を実施した7つの対象地域にて、モザンビーク政府による野外排泄ゼロの審査が行われました。審査には、モザンビーク政府の国家レベルから州政府、郡政府の関係機関すべての職員が参加し、各地域の家庭および公共施設(学校や市場)で正しくトイレを使用されているか、野外排泄の形跡が無いかをチェックしました。審査の結果、7つ全ての対象地域で野外排泄ゼロを達成する事ができました。

野外排泄ゼロを示す看板を設置、CLTSファシリテーターへ修了証などの贈呈

マサンジェナ郡は2月下旬にサイクロン・フレディが上陸し、一部の対象地域で世帯トイレのスラブ設置直後に、強い雨風によって世帯トイレの壁や屋根が倒壊したり、堀った穴が埋まってしまったりという被害を受けました。そのため、世帯トイレの再建をせざるを得ない状況となりました。また、トイレを使う習慣がなくても健康に長生きしてきた住民などに対しては、世帯トイレの重要性を伝えるのに苦労しました。このような困難がありましたが、各地域から選出したCLTSファシリテーターがグッドネーバーズのスタッフと共に、粘り強く家庭を巡回し、啓発活動を続けた結果、野外排泄ゼロを達成することが出来ました。

CLTS活動前は世帯トイレの所有率が、7コミュニティ全体で約42%に留まっていましたが、CLTS活動を経て、約84%の家庭が世帯トイレを所有する結果となりました。

さらに、過去2週間以内に下痢になった人の割合が減り、約83%の住民が下痢をしていない事が分かります。安全な水へアクセスできるようになり、世帯トイレが整備された結果、対象地域の住民の健康状態の改善に繋がりました。

1年次終了のお知らせとご支援のお願い

2023年3月23日を持ちまして、グッドネーバーズ・ジャパンのモザンビーク共和国ガザ州マッサンジェナ郡でのコミュニティの水衛生設備整備および衛生啓発活動事業1年次は終了となりました。 これまでご関心をお寄せいただきました皆様、ありがとうございました。

翌24日より、ガザ州シブト郡にて同事業2年次を実施しています。引き続きのご関心とご支援をよろしくお願いいたします。

水や衛生サービスは健康に生きていくために欠かせないものですが、モザンビークは気候変動の影響に対し非常に脆弱で、例年、大雨の増加や多発するサイクロンにより、モザンビーク各地で大規模な洪水の被害が報告されています。このような状況下で、安全な水へのアクセスがない人が多く、 早急かつ持続可能な対応が求められています。グッドネーバーズは、Yahoo!ネット募金を通してご支援をお願いしております。いただいたご寄付は、給水施設やトイレの建設、公衆衛生を向上させるための人材育成など、水衛生支援活動のために大切に使わせていただきます。

モザンビークの人々の命と健康のため、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。 

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