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2022.12.27 活動報告

【モザンビーク 水衛生】野外排泄ゼロをめざして

グッドネーバーズ・ジャパンは、モザンビーク共和国ガザ州マサンジェナ郡にて、地域住民が衛生的な環境のもとで安全な水が供給され、トイレが使えるよう、水衛生環境を整備する「ガザ州マサンジェナ郡におけるコミュニティの水衛生設備整備および衛生啓発活動事業」を実施しています。 

3か年計画の内1年次の今年は、給水施設と学校トイレの建設、世帯トイレの普及および野外排泄ゼロを達成するための衛生啓発活動(CLTS=Community–Led Total Sanitation)、そして地域住民の給水施設と学校トイレの維持管理能力の強化を行っています。 

今回は、本事業の中で、重要な活動である野外排泄ゼロを達成するためのCLTS活動について紹介します。 

※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

トイレの整備、CLTSとは?その重要性 

日本では当たり前のようにあるトイレ。家庭だけではなく学校や駅などの公共施設にも整備され、これにより病原菌の媒介や感染症が防がれ、公衆衛生や「命」が保たれている事を意識している人は少ないかもしれません。 

モザンビークの農村部ではトイレがない家庭が多くあり、近くの草むらや木陰などでの野外排泄が一般的に行われています。周辺に暮らす人々は、野外排泄が及ぼす悪影響について知識が乏しく、排泄物で汚染された飲料水や食べ物による下痢やコレラ、赤痢などで命を落とす人々が後を絶ちません。 

実際に下痢はマラリアにつぎ、モザンビークで最も多い子どもの死因の一つとなっています。特にモザンビークのように病院が少ない国では、トイレは命を守る重要な設備なのです。 

CLTSは、野外排泄が行われている状況を住民自らの目で確認することで、問題を理解しどう解決していくかを学ぶ住民参加型のワークショップです。これによりトイレと衛生管理の重要性を学び、自ら家庭トイレを作る事を目的としており、この手法は世界各国で多くの支援団体や国連機関が取り入れています。

CTLSファシリテーターの育成 

本事業では、当活動の中心的役割を担うCLTSファシリテーターを地域から選出し、育成研修を実施しました。ファシリテーターによる啓発活動を通じて、対象地域で野外排泄ゼロを達成するために必要な住民の自主性を育てます。 

グッドネーバーズのプロジェクトチームは、7月に現地政府と協力し、対象7地域から計20名のファシリテーターを選出し、研修を行いました。研修では、CLTS活動の核となるトリガリング (=喚起する、きっかけを与える)セッションの流れを実際に練習、トリガリング後に地域住民へ実施する、紙芝居形式の衛生啓発を実習しました。 

研修の最後には、シャンガーナ語で「トイレを作る準備はできたぞ!」と一緒に歌い、コミュニティで野外排泄ゼロを達成する、という目標に向かって一丸となりました。この曲はプロジェクトスタッフが自作したもので、CLTSファシリテーターの自主性を高めるために考案されたものです。 

研修後のファシリテーターたち 

トリガリングセッション

8月初旬、プレトリガリング活動として、CLTSファシリテーターが各コミュニティ内の家庭を訪問し、家庭トイレの有無や使用・管理状況、キッチンの清掃状況、生活用水の管理方法などの衛生実態を調査しました。 

その後、計505名が参加したトリガリングセッションでは、住民と共にコミュニティの地図を地面に描き、学校や病院などの公共施設の位置から世帯の位置、水を汲むポイント、および住民が野外排泄をしているポイントにマークを付けました。また住民と共に実際にコミュニティを歩き、野外排泄物がある場所を探しました。そうする事で、住民は生活圏と野外排泄をしている場所の近さを目の当たりにします。 

野外排泄物の場所を探す住民
野外排泄物があった場所を記録する
野外排泄物の場所を可視化する
汚染された水を見せるスタッフ

さらに、飲料水と食べ物の横に野外排泄物を並べ、実際にハエが行き来する様子を住民に見せます。ハエが行き来した飲料水や食べ物は、見た目には分かりづらいですが、野外排泄物などからハエが菌を媒介することや、汚染されたものに触れることが体調不良の原因になっている事を説明しました。 

自らの野外排泄行動が、生活環境や健康に影響を与える様子を目の当たりにすることで、「野外での排泄は危険、すぐに私たちのトイレを作らないと!」と、行動変容のきっかけになる事がこの活動をトリガリングと呼ぶ所以であり、CLTS活動の重要なポイントです。 

トリガリングセッションの最後には、排泄物を衛生的に処理できるトイレの重要性を住民に伝え、家庭トイレおよび手洗い場の建設方法をレクチャーしました。 

手洗い場の作り方をレクチャー

トリガリングを終えた地域住民は、自ら家庭トイレのための穴を掘り始めました。1人で穴を掘るのが難しい高齢者や障がいを持っている住民に対しては、CLTSファシリテーターが近隣住民の協力を呼びかけ、地域で助け合いながらトイレを作っています。 

今までトイレを使う習慣がなくても健康に長生きしてきた住民などには、家庭トイレの重要性がすぐには伝わらない事もありますが、CLTSファシリテーターが担当コミュニティで粘り強く巡回および啓発活動を続けています。今年度は、806世帯において家庭トイレの普及を実施しています。

モザンビークでの野外排泄ゼロを目指すCLTS活動について、以下の動画からもご覧いただけます。

さらなる活動のため、ご支援のお願い

水や衛生サービスは健康に生きていくために欠かせないものですが、モザンビークには安全な水へのアクセスがない人が多くいます。 モザンビークでの水衛生支援事業によって人々の暮らしを守るため、現在、Yahoo!ネット募金を通してご支援をお願いしております。いただいたご寄付は、給水施設やトイレの建設、公衆衛生を向上させるための人材育成など、水衛生支援活動のために大切に使わせていただきます。

モザンビークの人々の命と健康のため、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。 

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