世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2022.08.16 活動報告

【モザンビーク紛争】トイレスラブの制作トレーニング、配付を行っています

モザンビーク北部カーボ・デルガド州での紛争状況下、避難民の受け入れ先となるコミュニティにおいて水・衛生・保健サービスに対する需要が増加しています。しかし、水衛生設備の整備は追いついておらず、衛生習慣の悪化に関連した疾病が広がる傾向にあります。その原因のひとつが野外排泄です。この野外排泄の習慣によって、多くの人々、とりわけ脆弱な子どもや女性が安全性や健康上のリスク、セクシュアル・ハラスメントのリスクにさらされます。 

ナミナウェホストコミュニティに住むレへマさんが直面していた最大の問題は夜間の排泄でした。彼女は「草むらには多くの動物がいて攻撃される可能性もあるので夜間の排泄はとても怖かったです」と説明しました。実際、草むらに生息する野生動物や蛇が、特に日没後に食糧を求めて人々の生活圏内に現れることは珍しくありません。その他にも、人糞に含まれる細菌が体内に浸入することによって下痢症などの病気や感染症を引き起こし、脱水症状に陥ることもあります。また、女性の夜間外出は性被害の危険を伴います。 

このような状況を改善するべく、グッドネーバーズは、今年2月よりモザンビークメトゥージェ郡においてトイレ建設ニーズが特に高い再定住エリアに住む国内避難民とホスト・コミュニティであるントコタ、ナミナウェ地区の1011世帯にトイレスラブ(※)を配付する事業を行っています。さらにスラブが配布されても穴を掘らず野外排泄を続ける家庭が多いことが問題視されていたため、脆弱世帯196世帯への穴掘り支援も行いました。 

※トイレスラブとは …スラブとは床のことを指しており、一般的にコンクリートで作られています。掘った穴の上にスラブを設置することで、トイレが完成します。 

トイレスラブを設置する様子 

事業スケジュール 

3/23-25   Youth groupへの制作トレーニング 

4/4-5/16  スラブ制作 

5/16-5/31  スラブの蓋制作 

6/22-    スラブ配布開始 

キャッシュ・フォー・ワーク(Cash for Work)を用いた支援 

本事業はキャッシュ・フォー・ワーク という手法を用いて運営しています。キャッシュ・フォー・ワークとは、災害や紛争の影響を受ける人々を対象に、コミュニティに貢献するような仕事 (work) を提供し、その対価として現金 (cash) を給付する形の支援を指します。そのため、本事業では、Youth Group(※)のメンバーが作成したスラブ1枚を300MZN(約600円)で買い取っています。 

この手法を用いて、特に仕事に困っている若者が中心となって仕事を行うことで、彼らの経済的な安定に貢献することができます。また、避難生活により仕事や収入がなく、社会・経済への参加が十分にできない若者に仕事を与えることにより、過激派グループによる雇用や過激化思想に感化にされることを未然に防ぐ効果もあります。 

さらに、住民が主体となって建設することにより、彼らのオーナーシップを高めることができるほか、住民自らが制作・建設の過程を学ぶことで、故障した場合の修復が可能となったり、生活水を汚染しないような最適な建設場所の選び方がわかるようになり、次回も自らの力で新しくトイレが建設できるようになるなどの利点があります。

※Youth Groupとは …配布対象住民から成るグループ。やる気のある人や特に困窮している世帯を考慮し、コミュニティリーダーや女性団体等と協働して人材の選出を行いました。

Youth Groupへの制作トレーニング 

本事業では、スラブ制作の能力育成を目的としているため、まず事業スタッフがYouth Groupに対してスラブ制作のトレーニングを行いました。 

トレーニングにはYouth Group のメンバー60人(うち43人が再定住地、17人がホストコミュニティ出身)が参加し、スラブの機能や制作方法についての講習及び実技を通して、制作技術を身につけました。

トレーニングの様子 

その後、Youth Groupのメンバー一人一人が制作作業を行い、全てのスラブが適切に制作されました。 

制作されたスラブ(ナミナウェ地区) 

スラブの配付を受けた住民の声 

トイレスラブを受け取った住民からは、「生活が変わった」と支援を喜ぶ声がたくさん届いています。 

「今までは枝を集めてスラブのようなものを作っていたので安全なトイレではなく、苦しかったです。トイレを使用するリスクが軽減したのでとても嬉しいです。」(アイーシャさん) 

GNスタッフとアイーシャさん

アイーシャさんは、グッドネーバーズの支援より前からトイレを制作していましたが、コンクリートのスラブは高価なため購入できず、家の周りで拾えるもので代用していました。しかし、枝や竹は不安定なため、直径約1.5メートル深さ2メートル以上の穴に落ちないようにいつも恐る恐る用を足していました。一般的に安全なトイレを持っていない人は日没後に穴に落ちる危険を回避するため、野外排泄をする傾向が高いことが地域でも問題視されていました。グッドネーバーズによるトイレスラブの配布にアイーシャさんはとても喜び、さらに「今後もグッドネーバーズの継続的な支援を希望します。」と続けました。

「病気になるリスクも顧みず子どもたちはどこにでも排泄していたので、子どもがいる家庭にとってスラブは大切です。」(フィロメナさん) 

GNスタッフと子どもを抱えるフィロメナさん

グッドネーバーズからスラブが配布された後、すぐにトイレの壁も制作した彼女は「スラブを設置する前は食事にハエがとまっていましたが、今は病気の心配をせずに子どもと快適に過ごせるのでとても嬉しいです」と笑顔を見せました。ハエは、排泄物、動物や昆虫の死体、ゴミを食べて育つため、その体には、多くの病原菌が付着しています。グッドネーバーズが配布するスラブには蓋がついているため排泄後も衛生的な環境を保つことができます。それによってハエの発生を抑え、ハエが媒介するコレラや赤痢などの病気を防ぐことができるのです。 

グッドネーバーズは今後も現地のニーズに応じた支援事業を行う予定です。 

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