世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

*
2025.08.15 活動報告

【世界人道デー】エチオピア北部紛争により失ったヤギを2年間探し続けた男性が心を取り戻した生計回復支援 

紛争によって家畜を失った被災世帯に対するヤギ提供の様子(2025年5月)

毎年8月19日は「世界人道デー」として、世界中で人道支援活動を行う従事者たちの貢献を称える日とされています。
これは、2003年にイラクで国際連合の職員が命を落とした事件が背景となっています。

人道支援は、困難な状況にある人々を支援するために不可欠な活動であり、世界人道デーはその重要性を再確認し、私たち一人ひとりが支援に対する関心を深める機会となっています。 

世界中で人々が抱える困難はさまざまであり、支援が必要な地域は依然として数多く存在します。特に紛争や自然災害に直面した地域では、多くの人々が回復のために支援を求めています。その中で、私たちグッドネーバーズ・ジャパン(以下GNJP)は、エチオピアのティグライ州で紛争によって生計を失った人々への支援を続けています。 

※本事業は、ジャパン・プラットフォームの助成を受け実施しています。
 

紛争により失った生計手段を取り戻す―生計回復支援

エチオピアの北部に位置するティグライ州は2022年11月まで2年間続いた紛争により、甚大な被害を受けました。

学校や病院など多くの公共施設が破壊されただけではなく、住民たちは自宅や家畜、農地などの生計手段も失いました。実際に、ティグライ州では約248万頭の牛、約169万頭の羊、約380万頭のヤギ、約428万羽の鶏、さらに約23万個の養蜂箱が失われました。 

こうした状況をうけて、GNJPは2024年12月より、紛争により生計を失った人々が再び農業に従事できるよう支援を開始しました。
具体的には、地域の人々がお金を貸し借りし生活を支え合うための基盤である組合機能や、家畜配布による生計の回復を行っています。

本事業を通して、240世帯の人々がヤギまたは羊を、220世帯が養鶏キットを、100世帯が養蜂キットを受け取ることができました。また、それぞれの家畜をより健康的かつ効率的に育てていくために、畜産研修も実施しました。 

提供したヤギやヒツジ(2025年5月)

大切なヤギを紛争で失い、心に穴が空いた男性

今回は本事業の支援を受けた紛争被災者の方の話を紹介します。 

ゲブレさんはティグライ州エンデルタ郡エムニアンケラク村に住む28才の男性です。ゲブレさんは10年間、精神的な病に悩まされていました。伝統的な療法や現代的な治療などを何年にもわたって試みてきましたが、なかなか状態は改善しませんでした。それでも、家族の支えのおかげで、日々の生活を送ることができていました。 

ゲブレさんの家族は5匹のヤギを飼育していました。毎日ヤギを放牧しながら何時間も過ごし、必ずヤギとともに帰宅する日々を過ごしていました。ゲブレさんにとって、このヤギはただの家畜ではなく、ヤギの世話をすることが喜びであり、生きる希望でした。 

ところが、ゲブレさんの村にも紛争が拡大し、ゲブレさん一家は、命からがら家を後にしました。大切なヤギは避難のために置いていかざるを得ませんでした。しばらくして、避難先から家に戻った時、ヤギはみんないなくなっていました。殺されたのか略奪されたのかは不明ですが、ゲブレさんにとって非常に大きな喪失でした。ヤギがいなくなってから、ふさぎ込み、一日中寝て過ごしたり、急に家からいなくなったりする日が増えました。 

ゲブレさんは「ヤギたちはきっと生きている」と信じ、ヤギがいなくなってから約2年間、ほぼ毎日山に登り、ヤギを探し続けました。家族が危険を心配して止めても聞き入れず、時にはゲブレさん自身が行方不明となり、近所の人々が捜索することもありました。家族は、ゲブレさんの日常を取り戻すために、なんとか新しいヤギを購入したいと考えていましたが、家計の余裕はありませんでした。

 

「これからどこへ行くのも一緒だ!!」

そのような状況の中、ゲブレさん一家はGNJPの生計回復支援対象者に選出されました。ヤギ提供の当日、ゲブレさん自身も提供場所にやってきました。

新たにヤギを受け取って喜ぶゲブレさんとその母親(2025年5月)

3頭のヤギを受け取ったゲブレさんは喜びに満ち溢れ、「これは僕のヤギだ。これからどこへ行くのも一緒だ!!」と言いました。
また、ゲブレさんの母親は涙を流して次のように感謝を伝えてくれました。「GNJPは心を無くしかけていた私の息子を救ってくれました。再びヤギを飼育できることとなり、彼はもう毎日ひとりで山に行くのをやめて、新しいヤギの世話に打ち込むことができます。彼の心の状態は必ずよくなることでしょう。家族全員ようやく安心して眠れるときがきました。」 

グッドネーバーズ・ジャパンから受け取ったヤギを放牧させるゲブレさん(2025年7月)

ヤギ提供から約2か月後、GNJPスタッフがゲブレさん一家を訪問すると、笑顔でヤギの世話をするゲブレさんがいました。いまでは、毎朝、朝食をきちんととり、近くの山にヤギを放牧させるルーティーンを取り戻し、家族や隣人と楽しそうに会話する姿が見られました。 

今後の展望

世界人道デーを迎えるにあたり、GNJPは、人道支援の重要性を再認識し、これからも支援が必要な地域で活動を続けていきます。私たちは、どんな困難にも負けず、助けが必要な人と共に立ち、希望を届けるために尽力していきます。

本事業では、紛争により生活の支えとなっていた生計手段を失い、心理的ストレスを抱える人々が、再び自立した生活への自信や希望を取り戻すことができるように、生計支援を続けていきます。皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。

関連ページ

【エチオピア 命をつなぐ支援】ティグライ州での生計回復支援を行っています

【エチオピア】アムハラ州の国内避難民向け現金給付と生計向上事業を実施しました

【国際女性デー】紛争で奪われた女性たちの自信を取り戻すための自立支援


この他のエチオピア関連の記事一覧


募金にご協力お願いします

※グッドネーバーズ・ジャパンは「認定NPO法人」です。ご寄付は寄付金控除の対象となります。

▼ クレジットカードで寄付

▼ 郵便払込で寄付

最寄りの郵便局で、窓口にある「払込取扱票」または 「郵便振替払込請求書兼受領証」に必要事項をご記入の上、お振込ください。 ご記入いただく事項は、下記の通りです。

口座番号 00900-9-78879
加入者名 NPO法人グッドネーバーズジャパン
金額 ご寄付いただきます金額をご記入ください
通信欄 「エチオピア」とご記入ください。 領収書が不要でしたらその旨をご記入ください
ご依頼人・払込人住所氏名 必ずお名前、電話番号、郵便番号、住所をご記入ください

▼ 銀行振込で寄付

銀行でのお振込みの場合は、以下の口座にお振込みください。

※ 銀行振込みによるご寄付の場合、住所が特定できないため領収書をお送りすることができません。この場合は寄付金控除の対象外となりますので、何卒ご容赦ください。 ご希望の際は、郵便払込をご利用ください。

銀行名 三菱UFJ銀行 本郷支店
口座番号 普通 1155337
口座名義 トクヒ)グツドネーバーズ ジヤパン
振込依頼人名 振込依頼人名に続けて「エチオピア」とご入力ください
例)ヤマダ ハナコ エチオピア

▼ ヤフーネット募金で寄付(Vポイントの寄付も可能です)


皆さまのご支援ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。




絞り込み

カテゴリー

  • すべて
  • お知らせ
  • 活動報告
  • 人道支援
  • 現地スタッフから
  • キャンペーン・イベント
  • メディア掲載
  • プレスリリース
  • 未分類

活動地域

  • すべて
  • ミャンマー
  • ガザ
  • レバノン
  • シリア
  • インド
  • カンボジア
  • ネパール
  • バングラデシュ
  • エチオピア
  • チャド
  • モザンビーク
  • ウクライナ
  • 日本
  • その他

年代

  • すべて
  • 2025
  • 2024
  • 2023
  • 2022
  • 2021
  • 子どもサポーターになりませんか?
  • キモチと。