ホープスクールが子どもたちや地域にもたらした変化
現在、世界の平均識字率は91%とされていますが、西アフリカと中央アフリカでは50%と、低い水準になっています。
小学校の退学率も、世界の平均が9%であるのに対して、これらの地域では32%と高く、多くの子どもたちが教育を受ける機会を奪われています[※]
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教育を受けられずに、読み書きや基礎的な計算ができないまま成長すると、安定した職に就くことができない可能性が高くなります。そして教育の重要性も分からず、将来自分の子どもを学校に通わせることができなくなる、といった負の連鎖が続いてしまいます。
[※]2015-2016 UNESCO Global Education Monitoring Report
アフリカの子どもたちに希望を届けるホープスクール
アフリカにおける教育の状況を改善するために、グッドネーバーズは2009年から2017年までの8年間、アフリカの子どもたちのために学校を設立する「ホープスクールプロジェクト」を実施し、初等学校・中等学校(日本の小・中・高校にあたる)合わせて100校のホープスクールを設立しました。
この度、2012年から2016年にかけて、韓国の忠南(チュンナム)大学の教授と共同で行なった調査をもとに、プロジェクトの成果を評価しました。
このプロジェクトは「アフリカの子ども達が学校に通い、夢を追い続けられるようになってほしい」という想いから始められたものです。
2009年にグッドネーバーズの広報大使に就任した故パク・ヨンハさんが、チャドでのボランティアの体験をきっかけに、チャドでの学校建設を呼びかけました。その後韓国や日本から集まった寄付により、2010年に「ヨナスクール」が開校し、これが最初のホープスクールとなりました。
この活動はアフリカの他の地域にも広がり、グッドネーバーズのほか、5つのNGOが韓国のテレビ局SBSと協力してホープスクールプロジェクトを進めました。
ホープスクールでは、子どもの教育に必要な教室、校庭、トイレ、井戸などの基本的な設備はもちろんですが、ヘルスセンターも各地に併設し運営しています。ヘルスセンターは生徒だけでなく地域住民も利用できるようになっており、学校を中心とする地域全体の健康をサポートしています。
ホープスクールの成果
教育環境の改善
ホープスクールプロジェクトを通して、教室、校庭、トイレ、井戸など様々な面で学校の設備が大きく改善され、同じ地域にある他の学校よりも高いレベルの教育環境を整えることができました。
ホープスクールでは、5年前と比べて、1教室あたりの平均生徒数が22%減少し、1つのトイレを共有する生徒の数が49%減少するなど、教育環境が改善され、生徒たちの学校設備への満足度が高まりました。
学校環境の改善は、生徒たちの進学率と卒業率の増加に繋がりました。調査を行なった5年間で、高等学校への進学率は66%から80%に増加し、卒業率も73%から83%に増加しました。
さらに、親の教育への関心も、ホープスクールプロジェクトを通して高くなっていることが分かりました。
コミュニティの繋がりと、市民意識の向上
ホープスクールの生徒は、他の学校の生徒に比べて、学校生活以外のあらゆる面においても意識が向上したことが分かりました。
生徒たちは、将来のキャリアについての意識が高まり、自分が社会の将来を担っているという責任感が強い傾向がありました。また、コミュニティとの繋がりや、家での生活など、日常生活への満足度も高まりました。
ホープスクールプロジェクトを通して、子どもたちが質の高い教育を受けられるようになっただけでなく、生徒とその親の教育への意識と、生活への満足度を高めることが出来ました。今後も子どもたちが学校に通い、希望を持ち続けることができるよう、引き続き皆様のご協力をお願いします。