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2007.12.28 人道支援

バングラデシュ・サイクロン “シドル” 緊急支援活動報告(最終)

1.バングラデシュ緊急支援活動の実施背景

2007年11月15日18:30(バングラデシュ現地時刻)時速220Kmの強風、豪雨、津波を伴うサイクロン「シドル」が発生、バングラデシュ全土に甚大な被害をもたらしました。今回の災害により、5,000名以上の人命が奪われ、90万以上の被災者が発生しました。特に深刻な被害を受けた地域は、バケルハット(Bagerhat)ボルグナ(Barguna)地域のバングラデシュ南部です。

2.バングラデシュ緊急支援活動概要

プロジェクト名 : バングラデシュ・サイクロン被害地域緊急支援活動事業

プロジェクトの目的 : サイクロンの被害を受けた地域住民への身体的、精神的被害を軽減させる緊急援助活動を実施し、国際機関及び地域公共機関と連携しながら、被災者救護を行う。

緊急支援活動目標 :

  • 緊急支援調査チームを派遣、被害地域を調査し、緊急物資配布の被災者を調査及び選定する。
  • 緊急物資キットを製作、配布し、被害住民たちの食糧と生活維持を支援する。
  • サイクロン被害予防のための教育を実施し、防御策を備える。

緊急支援活動の地域 :
バングラデシュ南部のボリシャル(Barisal)地域のポトアカリ及びボルグナ地域の被害地域住民。

緊急支援活動の実施期間 :

  • 被害調査活動 : 2007年11月18日~2007年11月20日(3日間)
  • 1次緊急支援活動チーム : 2007年11月23日~2007年11月26日(4日間)
      (救護チーム、物資キット作製及び物資キット支給対象者選定)
  • 2次緊急支援活動チーム・緊急支援物資の配布 : 2007年11月27日
緊急支援チームの構成
区分 人員(名) 備考
被害調査チーム 6 事務長 , 韓国ボランティア, 現地職員(3名), ドライバー
支援物資製作チーム 22 支部長, 事務長, 韓国ボランティア(13名), 現地職員(6名), ドライバー
支援物資配布チーム 20 支部長, 韓国ボランティア (9名), 現地職員 (7), ドライバー
合計 48
派遣日程別
日程 派遣概要
2007/11/18 – 2007/11/20(3日間) 被害調査チーム派遣 メンバー6名 (事務長, 韓国ボランティア, 現地職員(3名), ドライバー)
2007/11/23 – 2007/ 11/26(4日間) 1次緊急支援チーム 緊急支援物資製作及び対象者選定チーム派遣 メンバー22名 (支部長, 事務長, 韓国ボランティア (13 名), 現地職員 (6 名), ドライバー)
2007/11/ 27(1日間) 2次緊急支援チーム- 緊急支援物資配布チーム派遣 メンバー20名 (支部長, 韓国ボランティア (9 名), 現地職員 (7)、 ドライバー)

3.バングラデシュ緊急支援活動事業の詳細

現地調査を行い地方政府から支援を受けていない被害地域住民600世帯4,200名に緊急物資の配布を行いました。

緊急物資の内容
支援品 数量(内訳) 数量(計)
20Kg × 600 12,000Kg
緑豆 2Kg × 600 1,200Kg
食用油 2Kg × 600 1,200Kg
代用食品(チラ) 2Kg × 600 1,200Kg
砂糖 2Kg × 600 1,200Kg
2Kg × 600 1,200Kg
じゃがいも 5Kg × 600 3,000Kg
玉ねぎ 1Kg × 600 600Kg
サリー(女性用) 1着 × 600 600着
ルンギ(男性服) 1着 × 600 600着
布団 1組 × 600 600組
清水剤 1箱 × 600 600箱
医薬品 1箱 × 600 600箱
マッチ 1箱 × 600 600箱

緊急支援活動の動き

2007年11月18日、緊急支援調査チームが被災地域へ出発しました。
2007年11月19日、ポトアカリ(Patuakhali )地区に到着。ポトアカリ地区の農村部2ヵ所で調査開始。そのうち1ヵ所の村には、倒れた木々により、村への進入が難しく、まだ救護の手が届いていない状況を確認しました。

バングラデシュ、サイクロン視察写真
バングラデシュ、サイクロン視察写真

2007年11月20日、最南端・海岸地域のクアカタ(Kuakata)まで調査活動を終え、地域軍部隊を訪問、緊急支援活動時の保護を要請しました。

2007年11月23日、緊急支援物資の配給対象の村及び支給対象者を選定、物資の内容を決定。物資購入のための市場調査を行いました。

バングラデシュ、サイクロン被害救援物資
バングラデシュ、サイクロン被害救援物資

2007年11月24日~26日、支給物資の購入及び一世帯あたりに支給する物資キットの準備を行う。被害者世帯を訪問し、支援対象者の氏名、年齢、性別、家族構成の記録と共に600世帯へ配給券を支給しました。

緊急支援物資の配給

2007年11月27日、地域軍の保護・管理下のもと600世帯を対象に、緊急物資を配布しました。全般的に安定的な雰囲気の中、緊急物資の受渡しが行われました。支援物資の配給は午前から実施され、最も遠い地域からきた住民たちから順番に配給され、約7時間に渡り600世帯4,200人の手に届きました。

バングラデシュ、サイクロン被害救援物資の配給
バングラデシュ、サイクロン被害救援物資の配給

協力体制

(1) 地域軍部隊から支援 :
緊急支援物資支給時の治安と安全を約束。物資を配給する間、4名の軍人がつき、安全を確保。
(2) 国際NGOとの協力関係 : ポトアカリ県ボルグナ地域は、メディアにあまり報道されていなかった地域で、ここで緊急支援活動を行ったNGOはグッドネーバーズが初めてでした。多くの国際機関及びNGOはボリシャル、ビバックを中心に活動していました。こうした状況から、他のNGOとあまり協力関係が築くことが出来なかったものの、物資購入時には、より安く物資を購入する方法など、情報交換を行いました。

4.バングラデシュ緊急支援事業決算の詳細

分類 金額(円) 備考
緊急物資購入費 1,839,696
宿泊費 42,714
通信費 5,025
人件費 301,751
その他 12,136 通行税及び文房具
合計 2,031,594

5.バングラデシュ第一次緊急支援事業の成果

十分な被害現場調査と支援物資配給計画で、支援物資内容選定及び支援地域対象選定が、とても効果的に行われました。他のNGOや政府機関の援助が全く入っていなかった被害地域を対象に実施された今回の緊急支援活動では、家庭で最も必要とされる生計型救護品の配布が行われ、被災者のニーズに応える活動となりました。

問題点と対策について

(1) 協力体制を通じた効果的な活動の不足 :
今回の緊急支援活動で最も残念だった部分は、緊急支援活動のネットワーク構築の不足です。他のNGOや国際機関との協力も少なく、ネットワークもありませんでした。
(2) 迅速な情報伝達手段の必要性 :
調査チームの活動時、最も必要な事は、は迅速な情報伝達です。電話を通じての情報には限界があります。そこで、必要なのは無線、インターネットを通じた情報の伝達です。バングラデシュでは、モバイルネットワークの普及により、モバイルを通じた無線ネットワークが構築されています。このようなネットワークを上手く活用すれば、グッドネーバーズ組織内の早い情報の共有が可能になります。グッドネーバーズ・バングラデシュには、このようなネットワーク網を利用できる端末機がないため、今後こうしたネットワークの整備が必要となってきます。
(3) 迅速な支援活動の必要性 :
被災者へ実際に支援物資が渡ったのは、サイクロン被害が発生してから12日後の2007年11月27日でした。海外支部から緊急支援活動チームの派遣がない状況の場合、被災国現地支部のより迅速な緊急支援活動が求められます。

今後の課題

(1) 災害予想地域の緊急支援ネットワークの構築(各国のグッドネーバーズ支部たちとの支援活動における協力のため、迅速で正確な状況伝達の必要)
(2) バングラデシュのように常に災害を受ける国に対する緊急物資品を事前に用意・準備する必要があります。

以上

このような支援活動は皆さまのご支援のもとに成り立っております。ご支援を頂きました皆様に改めまして感謝申し上げます。

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