【エチオピア】母親と子どもの命を守る保健医療支援を行っています
エチオピアのオロミア州アルシ県の5つの行政区域に住む人々は86万人。しかしながら、彼らが利用できるヘルスセンターは20カ所、それより小規模な医療施設であるヘルスポストは102カ所しかありません。そのうち、17万5千人が住むヒトサ地域では、ヘルスセンターは4カ所しかなく、1カ所あたり約4万3千人余りに対応していることになります。
また、夫の同意がないと妊婦がヘルスセンターを訪問できないという家父長的な文化や宗教的な理由で、妊婦が適切な診療や母子保健を受けることができていませんでした。
グッドネーバーズは、このような保健医療サービスの状況を受け、母子の命を守り、妊婦が健康で安全に子どもを出産できるように、2017年5月から2022年3月まで、母子保健事業を実施しました。
保健医療の重要性についての啓発
妊婦と新生児の死亡率を減少させるためには、何よりも地域住民と妊婦、医療スタッフに、妊婦と子どもの健康管理の重要性を認識させることが急務でした。
グッドネーバーズは、コーヒーを飲みながら話や協議などをするエチオピアの文化にならって、妊婦対象のコーヒーセレモニーを実施しました。そこでは、妊娠と出産の際の危険要素と、母子保健サービス、産前・産後の健康管理の必要性について教えました。
また、女性のみならず、地域コミュニティのリーダー、特に男性と男性医療スタッフ、青少年にも母子保健の重要性について啓発し、地域住民の認識向上に取り組みました。
患者搬送システムの改善
人々の医療施設へのアクセスを向上させ、母親が子どもを安全に出産できるように、6か所のヘルスセンターに、妊婦が分娩前に泊まることができる病室を備える待機施設を建設しました。
また、救急車の運営体制やリスクの高い妊婦と新生児の医療施設への移送を支援し、妊婦と新生児の死亡率を減少させることができました。
「以前はヘルスセンターに妊婦待機施設さえなく、特に、ヘルスセンターから遠いところに住んでいる妊婦たちは、安全な環境で分娩するのが困難でした。過去5年間行われた母子保健事業を通じて、地域コミュニティの認識が改善され、妊婦と新生児死亡率が減少し、子どもが健康に成長できる環境が整いました。」 ― ヘルスセンター関係者
オロミア州公衆保健訓練センター (OPHTC) の改善
さらに、グッドネーバーズは、オロミア州公衆保健訓練センターを改修し、管理人材の雇用や運営マニュアルの作成を支援し、母子保健サービス向上に必要な保健医療の人材を育てる環境を整えました。
ここでは現在、保健医療スタッフを対象に、母子の栄養管理、産前産後管理、家族計画サービス、分娩サービス、保健情報管理、ジェンダー等について多様なカリキュラムの教育を進めています。
グッドネーバーズは、母親が安全に出産でき、子どもが健康に成長できるよう、これからも活動を続けてまいります。