【ネパール/ムグ郡】計21校の小中学校での給水設備とトイレが完成しました
2021年3月より、ネパールのカルナリ州ムグ郡において、小中学校における水衛生環境を整備する事業を行っています。本事業の第2年次が終了し、第1年次と合わせて21校において「飲料水給水設備」「男女別バリアフリートイレ」および「ごみ処分設備」建設が完了しました。
本事業では、設備の建設による整備のみならず、衛生設備の管理スキルアップの研修や衛生活動のほか、月経対処能力向上のための活動も行いました。
※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

水衛生環境の整備
ネパールの小中学校では、水衛生設備や衛生教育が不足しており、生徒が安全な水衛生環境へアクセスできないことや衛生環境を保つための適切な習慣を知らないことが課題となっています。本事業の実施地域であるムグ郡は、標高2000m以上の山々が連なる山岳地域のため、交通アクセスが悪いことなどを理由に、水衛生設備の供給率が国内でも低い地域のひとつです。同地域では、安全な飲料水を利用できる人々は50%程度(ネパールMultiple Indicator Cluster Survey 2019レポート)にとどまり、トイレなどの衛生施設を利用できる人々の割合は40%未満と低い状況です(ICIMDO 2018報告)。
こうした背景のもと、グッドネーバーズ・ジャパンでは水衛生事業を実施してきました。第2年次で行った事業により、対象10校の生徒3,209名(男子1,621名・女子1,588名)が安心して学校に通える環境を整備することができました。


衛生啓発
第1年次に続き第2年次においても、対象の全31校とその周辺地域で、身体を清潔に保つための講座やイベントを開催し、手洗い方法や歯磨き・つめ切りといった生活習慣に関する教育を実施しました。あわせて、生徒に衛生教育を継続して行うことができるよう、学校の先生を対象としたトレーニングを行いました。
また、学校の水衛生環境の保全に貢献するために、生徒によるチャイルドクラブを組織しました。チャイルドクラブでは、生徒自らが水衛生環境の整備を担っていくことを目指します。毎週金曜日の放課後に、校内美化活動や、地域での手洗いキャンペーンといった啓発活動を、生徒自身が行いました。


子どもたちが、学校だけでなく家でも正しい衛生知識をもって日常生活が送ることができるよう、保護者を対象とした、衛生環境の整備と適切な衛生行動の重要性を理解するためのトレーニングを行いました。また、保護者のみならず、学校周辺の地域住民が参加する衛生セミナーを開催し、衛生行動の習慣づけや衛生環境の整備について、家庭内や地域全体で促進していくための取り組みを行いました。

月経衛生対処能力の向上、月経期間隔離に対する教育・啓発
ネパールの一部地域では、月経にまつわるタブーが根強く存在します。本事業対象校地域も例外ではありません。学校でも月経備品が十分に配置されておらず、月経期間中に女子生徒が学校を休むケースがみられます。
こうした状況に対し、コミュニティ、学校、現地政府職員に対する啓発教育を実施しました。同時に、各学校コミュニティにおいて、啓発教育の普及を継続させるよう、トレーナーの育成を行いました。
また、ムグ郡では、地理的環境により使い捨てナプキンが入手しづらいため、女子生徒を対象に布ナプキンの縫製方法の指導を行いました。
学校の周辺地域の人々の月経への正しい理解を深めることで、女子生徒が学校に通いやすい環境を整備しました。


グッドネーバーズ・ジャパンは現在、本事業の第3年次を開始しています。3年次事業では、新たにムグ郡の小中学校10校を対象として水衛生設備の建設を行い、これまでに引き続き、対象全校およびその周辺地域で、水衛生環境の整備と衛生知識の向上活動を展開していきます。