世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2019.12.10 活動報告

バングラデシュ 子どもたちが安心して暮らせる難民キャンプへ

「世界人権の日」に、難民として暮らす子どもたちや女性について知ってください

毎年12月10日は世界人権の日(Human Rights Day)です。今から71年前の1948年12月10日、世界人権宣言が第3回国連総会において決議されたことを記念して、その2年後の総会で決定されました。
すべての国のすべての人が、生まれながらにして自由であり、基本的な市民的、文化的、経済的、政治的および社会的権利を享受すべきことを規定した世界人権宣言は、「すべての人民にとって達成すべき共通の基準」として国際人権保障の理念の礎となっています。

グッドネーバーズでは、「誰もが人間らしく生きられる社会」をつくることを使命として、紛争や災害の現場で、特に弱い立場におかれている子どもや女性の人権を守る活動を行っています。

今もなお難民キャンプで暮らすロヒンギャの人々

世界最大規模の難民キャンプ、コックスバザール

バングラデシュ東部に位置するコックスバザール難民キャンプ。世界で最も大規模な難民キャンプで、914,998人、311,383世帯の人々が収容されています。その中でも、2017年8月以降にミャンマーからここへ逃れてきたロヒンギャ難民は744,400人にものぼります(出典:UNHCR Report 2019(2019年9月30日現在))。

ミャンマーに生まれたイスラム教徒のロヒンギャの人々は「バングラデシュからの不法移民集団」として扱われ、何十年にもわたって移動・結婚の自由や仕事・医療・教育へのアクセスを奪われて迫害と衝突による隣国への流出が何度も繰り返されてきました。

コックスバザールに暮らしているロヒンギャ難民の中には、ミャンマーから何日もかけて山を越え、川をいかだで渡り、中には泳いで逃れてきた人も少なくありません。妊婦、銃やナイフで傷を負った男性、親とはぐれてしまった子ども、高齢の親戚をなんとか連れてきた家族などさまざまです。 また、無事にキャンプにたどり着いたとしても、そこには様々な問題が待ち受けています。雨季には地滑りによって命を落とす危険もあり、水道・トイレなどのインフラ整備は、避難してくる人々の急激な増加に追いつかない事態となっています。

特に、難民全体の人口の8割を占める子どもと女性にとって、難民キャンプでの生活は多くの危険が潜んでいます。一つのトイレを複数の家族が一緒に使用せざるを得ず、衛生問題はもちろんのこと性的暴行にさらされる危険性も高くなっています。
また人身売買や早婚、子どもの誘拐といった問題も発生しています。

(ロヒンギャ難民の女の子の話)
真夜中に銃声で跳び起き、火の海になった村を後にして両親とミャンマーを離れた日のことが、今でも夢に出てきます。
私はミャンマーで生まれたけれど、ミャンマー人ではないそうです。 バングラデシュに7日間かけて移動しましたが、その間の食事は2回だけでした。難民キャンプは狭く、5世帯が狭いエリアに暮らしていてとても不便です。隣の女の子がトイレでいたずらされたという話を聞いて、夜トイレに行くこともできません。

そして、先の見えない不安定な状況では、子どもたちは通常の教育の機会をもつことはできません。学校がないために子どもが家の中に一人でいることも少なくなく、誘拐や性暴力といった危険にもさらされています。

子どもの権利を守り、育てる空間

そのような中でも、コックスバザール難民キャンプでは、今日もまた新しい命が生まれています。収容人口の半分以上を占めるロヒンギャの子どもたちが教育を受け、心も身体も健康に成長することは、すべての子どもが平等にもつ権利であり、私たち大人の願いです。

グッドネーバーズは、子どもたちが難民キャンプの中でも子どもらしく、様々な夢を育てていくことができるよう支援するチャイルド・フレンドリー・スぺース(CFS:Child Friendly Space)事業を進めています。

グッドネーバーズが運営する3つのチャイルド・フレンドリー・スぺースには、4歳から14歳の子ども約360人が参加しています。彼らはバングラデシュへ逃げてくる際に命の危険を感じたり、先行きの見えない生活に不安を抱えている子どもたちです。そんな彼らが、心を開くことができるような空間づくりからスタートし、英語や算数を教えたり衛生教育を実施しています。

また、チャイルド・フレンドリー・スぺースでは安全に配慮しながら野外活動を行ったり、歌やダンスの時間などもあり、ロヒンギャの子どもたちが難民キャンプの中でも楽しみながら教育を受け、元気に成長できるよう支援しています。

座学だけでなく、身体を動かしながら周りの子どもと遊ぶ時間も。

またチャイルド・フレンドリー・スぺースでの活動には、子どもの保護者も参加しています。子どもたちやロヒンギャのコミュニティにとってよりよい空間をつくるために、子どもの権利について自分たちでアイデアを出し合っています。

グッドネーバーズが主導する子どもの権利委員会に参加する保護者たち。
「チャイルド・フレンドリー・スぺースのおかげで、ふたりの子どもが安全に外で体を動かすことができ、教育も受けられて親としても安心して暮らせます」

女性の安全と自立のためのプロジェクト

グッドネーバーズは、チャイルド・フレンドリー・スぺースと同時にロヒンギャの女性のための事業を進めています。ウィメン・フレンドリー・スペース(WFS:Women Friendly Space)プロジェクトでは、難民キャンプでの危険にさらされる女性を保護し、権利教育、識字教育、ストレスやトラウマ軽減のための支援を行っています。また、彼女たちが経済的に自立できるよう、漁網や伝統的な刺繍工芸品づくりの技術支援を行っています。

また、ロヒンギャの人々は男性の意思決定を重んじる傾向にあるため、男性側の意識や行動を変えることが不可欠と考え、男性を対象に、女性や女の子のための活動に対する認識の改善や権利教育を進めています。

紛争が長期化する中で、危機にさらされている難民の子どもたちや女性の権利を守ることはとても重要です。
グッドネーバーズは、すべての人がいかなる状況においても心身ともに安全に暮らせるよう、今後も人権の保護を含めた緊急人道支援に取り組みます。

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