世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

*
2019.07.16 活動報告

トイレの設置でマラウイ・カスングを元気に

清潔な衛生環境は村を守ります

世界では45億人が安全なトイレを使用できません。このうち8億9,200万人以上は家や近所に利用できるトイレがなく、道ばたや草むらなどで用を足す屋外排泄を行っています。
不衛生な水やトイレは人々、特に幼い子どもの健康に悪影響を与え、毎年36万1,000人の5歳未満児が下痢によって命を落としています。安全なトイレを使用することは、コレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスといった感染症を防ぎ人々の健康を守るだけでなく、子どもたちの教育や人の尊厳を守ることにもつながります。

(出典:ユニセフ・WHO(2017)『衛生施設と飲料水の前進:2017年最新データと持続可能な開発目標(SDGs)基準』)

マラウイでのプロジェクト

生活するために必要な水を子どもたちが汲みに行きます

アフリカ南東部に位置する内陸国、マラウイ。首都リロングウェから北に120km離れたところにカスング(Kasungu)という地域があります。カスングでは安全で清潔な飲料水を得ることが難しく、ほとんどの村人は川などの水源から水を汲んで飲み水として利用しています。

また村にはトイレのある家はほとんどなく、草の茂みで用を足す場合が多くなっています。学校のトイレも不足していて、女子学生が1つのトイレを120人で利用しているケースもあります。トイレの不足は女子学生にとって深刻な問題です。月経中にトイレを使えないと不快感や恥ずかしさを感じ、学校を休んでしまうことにもつながります。何日間も休んでしまうことが毎月続くと学校に戻っても授業についていけなくなり、退学する原因にもなります。

トイレに対する意識を変えるプロジェクト

カスングでは村人のほとんどは農家として生計を立てています。収入は農作物の収穫に左右されるため、ひどい干ばつが続くと収穫がほとんどなくなり、井戸やトイレを設置する余裕などありません。また村人の衛生に対する認識が大きく欠如しており、村のリーダーたちでさえトイレの利用や手洗いなどの衛生観念がなくトイレの必要性を感じていませんでした。

水やトイレの欠如によって村には下痢やコレラのような感染症が広まっており、死につながる場合もありました。カスングではマラウイの他の地域よりも水因性の病気にかかった子どもの割合がはるかに高いことを受けて、グッドネーバーズは「コミュニティ主導全村環境衛生活動(Community-Led Total Sanitation、以下CLTS)」を行いました。

村のリーダーたちに説明をするグッドネーバーズスタッフ

CLTSはグッドネーバーズのサポートの下、村の住民が主体となり衛生状況を改善できることを目指して行われました。CLTSは村人たちの日頃の行動を見直すことから始めます。まずは村の地図を作成し、それを持って村を歩きながら自分たちが普段どこで排泄を行っているのか印をつけていきます。すると地図は印でいっぱいになってしまい、村人が生活している場所は排泄物だらけになっていることが分かりました。

①村の地図を作成
②どこで排泄を行なっているか村を探索

次に、きれいな水と排泄物で汚れた水を使いどちらにハエが寄ってくるのか観察します。ハエは汚れた水に寄ってきます。これによって、人間が屋外排泄を行うとそこにハエがたかり排泄物を体につけ、ハエが飛び回ることであちこちに排泄物が付着することが分かります。そして、どれほどの排泄物が水やハエ、土壌、手、食べ物などを介して自分たちの口に入っているかも分かりました。今までの下痢や感染症はこれが原因でありその治療費として多くのコストがかかっていたことを知ると、村人たちはショックを受け自分たちの力で衛生環境を変えていこうと考えるようになりました。
村人たちの意識の変化をうけて、グッドネーバーズは村人たちが学校と家に必要なトイレや手洗い場などの適切な衛生施設を設置できるようにサポートしました。

③ハエは汚れた水に寄ってきました
④学校や家の衛生施設の設置をサポート

CLTSに参加したパトリシアさんのお話

こんにちは!私はカスングに住むパトリシアです。
私は家族で農業を営んで生活をしています。家の周りには緑豊かな茂みがありそこが私たちにとってのトイレだったので、トイレが必要かどうかなんて考えたことがありませんでした。しかし、いつからか家族が慢性的な下痢に悩まされるようになりました。すると近所の人たちは私たち家族が呪いにかかったのではないかと話し始めました。
しかし、グッドネーバーズのプログラムに参加して、私たち家族の下痢は呪いではなく衛生環境が悪いためであったと学びました。上手く処理できていない排泄物が最終的に自分たちの所へ戻って来たせいで病気になっていたのですね!
今ではどうすれは衛生環境が整えられるかが分かり、私たちの家族が実践する方法も知ることができました。プログラムのおかげでこれからは家族が健康に過ごせます。

村の学校に設置されたトイレ
家で手洗いや皿洗いをできるようになりました

トイレの設置で地域を元気に

グッドネーバーズは未来を担う子どもたちの健やかな成長のため、様々な地域で水と衛生支援事業を進め、地域社会の環境改善に取り組んでいます。

家にトイレが設置されると、女の子にとっては暗い夜に草原まで行かなくて済むので、怖い思いをしたり、襲われたりする心配がなくなります。また、学校にトイレができると、子どもたちは集中して授業を受けることができます。

すべての人が安全で清潔なトイレを使えるよう、皆さまのご協力をお願い致します。

関連ページ

絞り込み

カテゴリー

  • すべて
  • お知らせ
  • 活動報告
  • 人道支援
  • 現地スタッフから
  • キャンペーン・イベント
  • メディア掲載
  • プレスリリース
  • 未分類

活動地域

  • すべて
  • インド
  • カンボジア
  • ネパール
  • バングラデシュ
  • エチオピア
  • チャド
  • モザンビーク
  • ウクライナ
  • 日本
  • その他

年代

  • すべて
  • 2024
  • 2023
  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 子どもサポーターになりませんか?
  • キモチと。