東京韓国学校の小学生が希望の手紙コンテストに参加
2016年5月~7月、グットネーバーズ・ジャパンが主催した『希望の手紙コンテスト』に、東京韓国学校の小学生158人が参加しました。
希望の手紙コンテストは、未来を担う子ども達が世界にふれるきっかけを作ることを目的に、発展途上国の問題について映像教材を見て手紙を書くことで、親子で国際理解を深め、楽しく学べる教育プログラムです。小学生対象の手紙のコンテストで、グッドネーバーズが国を跨いで実施しているグローバルキャンペーンです。
今年の希望の手紙コンテストのDVDに登場する子どもは、ネパールに住んでいるある12歳の女の子、スニタちゃんです。
スニタちゃんの父親は亡くなっており、今は3人の兄弟と目の見えない母親と住んでいます。彼女は将来先生になりたいという夢を持っていますが、収入が少ないため、工場で一日をずっとカーペットを織る仕事をして働かなければなりません。
参加した小学生達は、スニタちゃんのDVDを家族と観て、彼女に手紙を書きました。
スケジュール・選考
5月20日~ 6月17日 |
希望の手紙キット(DVD、レターセット等)を同校の小学生720人に配布し、子ども達は各家庭で映像を観てそれぞれに思いのこもった手紙を書きました。参加は任意であったものの、158世帯の家族が、コンテストに参加してくれました。 |
---|---|
06月30日~ 7月13日 |
グッドネーバーズ・ジャパンスタッフが、158枚すべての手紙を読み、45枚を選びました。 |
7月21日 | 東京韓国学校にて表彰式を行いました。 |
コンテストに参加した子ども達は、スニタちゃんの状況をよく考え、心を込めて手紙を書いてくれました。また、保護者の皆様も応援のメッセージを書いてくれました。とても印象的で感動的な手紙ばかりで順位をつけるのが難しかったのですが、最終的に、大賞1人、最優秀賞4人、優秀賞5人、佳作35人、そして一番多くの参加があったクラスが団体賞を受賞しました。
表彰式
表彰式は、東京韓国学校の講堂で一学期の終業式の後に行いました。
大賞を受賞したのは、小学3年生のユ・ミョンジェ君です。彼の手紙には、スニタちゃんを思いやる気持ちがよく書かれていたのはもちろん、自分の生活と比較し、相手を気遣う内容が込められていました。また、スニタちゃんの名前で「あいうえお作文」を作るなどクリエイティブな発想も評価されました。保護者のメッセージ欄には、両親だけでなくお姉さんからもメッセージが書かれており、家族が一緒に、真剣に取り組んでくれた様子が伝わりました。
表彰式では、ミョンジェくんは自分の書いた手紙を大きな声で読み上げてくれました。
大賞受賞作品
スニタお姉ちゃんへ
スニタお姉ちゃんおはよう。僕は東京韓国学校に通ってる3年生のユ・ミョンジェだよ。僕も学校に行くのがとても楽しい。スニタお姉ちゃんももうすぐ学校に通えるように僕が願うよ。お姉ちゃんは凄く大変そう。なぜなら、13時間もずっとカーペットも織らなきゃいけないし、兄弟も3人もいるから世話をしなきゃいけないし、家事もやらなきゃいけないよね。
僕はスニタお姉ちゃんに比べたらすごく楽に生活してるかも。僕は心配だよ。スニタお姉ちゃんの体調が悪くなるかもって思って。
体が痛くなったら学校にも通えないし、学校へ通えなくなったらお姉ちゃんの夢である先生にもなれないよね。だからもう少し頑張って。
スニタお姉ちゃんが幸せで将来先生になれますように。僕も東京韓国学校で応援するよ。
スニタお姉ちゃんの作文
ス: スニタお姉ちゃんは数学の先生になるのかな?
ニ: 日本語の先生になるのかな?
タ: 体育の先生になるのかな?
3年2組 ユ・ミョンジェより。
ミョンジェくんとのインタビュー
大賞を受賞したミョンジェ君とご家族に、コンテストの感想などをうかがいました。
- Q. スニタちゃんの一日の生活を観てどのように思いましたか?
A. 学校に行きたいけど行けないスニタちゃんを観て悲しかったです。 - Q. スニタちゃんのように家族のために働かなければならなくて学校へ行けない子どもが世界にいるという事は知っていましたか?
A. テレビで世界各地をまわる文化体験の番組を家族と一緒に見るのが好きで、ネパールについての番組も見たことがあるし、世界で起きていることにも興味がたくさんあります。ぼくは、夏休み中は遊んでテコンドーとか水泳教室にも行って、たくさん自分のやりたいことをできるのに、スニタちゃんは学校にも行けず仕事ばかりやるのが悲しかった。 - Q. スニタちゃんのような人々のために何ができると思いますか?
A. 面白い手紙も書いて送りたいし、お小遣いも少しずつ貯めて送ってあげたいです。
ミョンジェくんのお母様より
- ミョンジェは学校へ行くのが大好きで、特に友達と遊ぶのが好きでとても明るくアクティブな性格です。スニタちゃんと同じくらいの年齢の子どもを持つ親の立場から見ると、子どもが働かなければならず、当然受けるべき権利を受けられないのは悲しいことです。
- ミョンジェは、映像を見た後、テレビでネパールと似たような国の人々を見るたびに「スニタ姉ちゃん、スニタ姉ちゃん」と言っていて、よほど印象的だったのでしょう。しばらく忘れられない名前になったのだと思います。
- 私は以前、社会福祉士として働いた事がありますが、このような教育は子ども達の人格形成にとても役に立つと思います。(映像を観て)思った事をすぐに手紙で書くというのがいいと思います。ですが、こういったものは子どもが自発的に参加するということが何より大事だと思います。
初めてコンテストにご参加いただきました、東京韓国学校の学校関係者の皆様、参加してくださった子ども達ならびにご家族の皆様、本当にありがとうございました。