2005年パキスタン大地震緊急人道支援活動報告
※被害規模:2005年10月18日(火)当時、駐在国の政府が発表した地震による被害は、被害額が40~50億ドル、 死亡者が約42,000名、負傷者が約67,000人であったが、11月2日(水)には死亡者が約73,276人に達した。また、国際移住機構(IOM)の10月21日の報告によると、被災者280万人はまだ冬を越す場所が見つかっていない状況。
1.緊急援助隊の派遣地域
(1) パキスタン
パキスタン領のカシミール地域が地震による最大の被害地域だが、3,000メートル以上の山岳地帯で道路や通信網が寸断し、 駐在国の政府は正確な被害の把握に困っている状態である。下図のように、Balakot、Manshera、Muzaffarabad地域等が最大の被害地域である。
(2) バラコット(Balakot)
10月 8日、現地時間の午前8時 50分頃に発生したパキスタン大地震は、震源地がイスラマバードから北東に約100キロメートル離れたカシミール地方の首都であるMuzaffarabadで, GNI(グッドネーバーズ・インターナショナル)は 10月 11日に緊急援助隊を派遣し、10月15日から2番目に大きな被害地域のBalakotで医療キャンプを運営し、物資の配給を行った。
Balakot地域は周辺地域の人口を合わせると約39万人が住んでいるところで、この地域の建物の8割以上が崩壊し、現在死亡者が7万2千人と推計されている (パキスタン政府は全体死亡者が10万人以上だと推定している)。
Balakot周辺には20~30人前後が生活している村が点在しているが、この山間地域につながっている道が全て寸断されてしまったため、道路が復旧されるにつれて被害数が変わっている。村人たちが最も心配しているのは天気だ。2~3週後に雪が降り出すと、寒さから逃れるためのものが何もない彼らに、より大きな被害が予想されている。
グッドネーバーズがテントと毛布を支給したが、現地からは今でも支援要請がきている。
2. 緊急援助の進行過程
(1) 緊急援助の調査
緊急援助隊第1陣は10月 11日に出発し、現地で連絡可能な全ての基幹施設を調査しながら、地震被災地域全ての救援活動を調整する政府の対応が遅れたため、現地調査を通してパキスタン軍の協力で今回の活動適合地域を選定した。
また、地震被災地域で必要な品物の市場調査をイスラマバードで行い、韓国から送られてくる緊急救援物資を速やかに供給できる道路を確保し、継続的な救護隊の活動ができるように治安状況を確認し、地域に適した治安対策を立てて活動を行った。
(2) 医療活動及び物資支援
第1陣によって選定されたBalakot地域のパキスタン軍医療キャンプを中心に医療キャンプを行い、一日平均150名の患者を診療し、現場の安全と物資の正確な配分のために医療キャンプ周辺のパキスタン軍の協力を得て、周辺地域の村に食料品とGNI緊急救援キット500個を配布した。
(3) 再建支援
現在、パキスタン政府による建物復旧作業は全く行われておらず、山間地域の村を通る道もBalakotを中心に100km程度しか復旧されていないため緊急援助隊による建て直し支援は難しいと見られている。
3. 緊急援助の活動内容
- 被害地域のモニタリング:救護活動地域の事前準備
- 医療援助: 韓国からの派遣医師と看護師、現地パキスタン医師、 アフガニスタン医師らと共に医療活動
- 支援物品購入及び運送、援助物品の配給
医療支援 | 総2,099名 |
---|---|
緊急支援物資配布 | 小麦粉3000kg, 粉乳600kg, 砂糖 600kg テント300 毛布390 キット 500 上記以外に4回の派遣の際、毛布、衣類、おもちゃ、食料等の追加支援を予定 |
4. 派遣内容
(1) 緊急援助隊の派遣(活動)人員数
医師 | 看護師 | 記者 | グッド ネーバーズ |
ボランティア | アフガン支部の支援 | 計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
放送 | 新聞 | |||||||
1次 | 1 | 1 | 3 | 3 | 3 (オウンジュ, ユキョンミン, 医師) | 11 | ||
2次 | 2 | 1 | 2 | 1 | 3 (KTF,一般2) | 9 | ||
3次 | 2 | 3 | 1 | 6 | ||||
4次 | 0 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 1 | 7 |
計 | 5 | 5 | 6 | 3 | 7 | 3 | 4 | 33 |
(2) 緊急救助支援の規模
項目 | 使用の内訳 | 計 | |
---|---|---|---|
緊急援助費 | 品物支援 | 緊急援助KIT支援、テント、毛布、衣類、食料、食器類等の支援 | $138,000 |
医療支援 | 医療関係者派遣、医薬品の支援 | $35,000 | |
計 | $173,000 |
(3) 一次派遣の細部事項
- 派遣地:パキスタンのイスラマバード、ガラハビブラ
- 期間: 2005年 10月 11日 ~ 2005年 10月 22日 (12日間)
- 派遣名簿:
氏名 | 所属・職業 | 帰国日程 | |
---|---|---|---|
1 | チェミナ(女) | グッドネーバーズ | 10月22日 |
2 | イビョンヒ(男) | グッドネーバーズ | 10月23日 |
3 | バクドンイル(男) | グッドネーバーズ | 10月22日 |
4 | キムヒジョン(女) | 看護士 | 10月19日 |
5 | ジョンセジン(男) | 記者 | 10月22日 |
6 | ファンインチャン(男) | 記者 | 10月22日 |
7 | ユヨンギュ(男) | 記者 | 10月22日 |
8 | バクヒョンハ(男) | 医師 | 10月22日 |
9 | オウンジュ(女) | アフガン支部 | 10月23日 |
10 | ユギョンミン(男) | アフガン支部 | 11月2日 |
11 | アフガン医師 | 10月24日 |
(4) 活動内容
アブッドダバード地域の被災者対象の移動診療、援助物品の配送、生活必需品支援以外にもガリハビブラ地域のドマルキリスト教病院と協議し、診療及び食料の配給予定。
(5) 2次派遣の細部事項
- 期間: 2005年10月14日~2005年10月22日(10日間)
- 派遣名簿:
氏名 | 所属・職業 | 期間 | |
---|---|---|---|
1 | キムイドン(男) | 医師 (チンヘ福音外科病院) |
10月14日-10月22日 |
2 | イソンエ(女) | 看護士 | 10月14日-10月22日 |
3 | キムジョンミ(女) | 看護士 | 10月14日-10月22日 |
4 | チュンヒョンウ(男) | ボランティア | 10月14日-10月22日 |
5 | チョンヒョンホン(男) | KTFボランティア | 10月14日-10月19日 |
6 | イギュイン(男) | 医師 | 10月14日-10月22日 |
7 | イデギル(男) | SBS記者 | 10月14日-10月19日 |
8 | アンジンベク(男) | MBC ‘とても特別な朝’ |
10月14日-10月19日 |
9 | キムサンウ(男) | グッドネーバーズ | 10月14日-11月2日 |
(6) 3次派遣の細部事項
- 期間: 2005年10月25日 ~ 2005年 11月2日 (9日間)
- 派遣名簿:
氏名 | 所属・職業 | 期間 | |
---|---|---|---|
1 | イウォンボ (男) | 医師 | 10月25日-11月2日 |
2 | キムドヒョン (男) | 医師 | |
3 | バクヨンラン (女) | 看護士 | |
4 | チェジョンフン (男) | 看護士 | |
5 | キムヨンジョン (女) | 看護士 | |
6 | コソンフン (男) | グッドネーバーズ |
(7) 4次派遣の細部事項
- 期間: 2005日11月22日~2005年12月7日(15日)
- 派遣名簿:
氏名 | 所属・ | 期間 | |
---|---|---|---|
1 | コソンフン (男) | グッドネーバーズ | 11月22日-12月7日 |
2 | チェミナ (女) | グッドネーバーズ |
5. 緊急援助隊 活動の細部日程
日付 | 活動内容 | 医療活動 | 物品配給活動 |
---|---|---|---|
10. 11(火) | ○1次緊急援助隊の派遣 (8名) 17時15分出国(インチョン空港) |
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10. 12(水) | ○ 06時パキスタンのイスラマバードに入国 ○ アブッダバードへ移動― 現地調査へ着手 ○ 韓国の緊急援助隊との打ち合わせ ○ ガラハビブラ地域の被害調査 ○ ゴルマ病院と打ち合わせ |
||
10. 13(木) | ○ 午前の医療活動に必要な物資を全て整理し、クンハルキリスト教病院に出発するつもりだったが、5.5規模の余震で病院に行く道が全て遮断された。遮断解除するまでアブッダバードで待つ。 | ||
10. 14(金) | ○ 20時25分 2次の緊急援助隊の派遣 (9名) ○ 午前クンハルキリスト教病院に到着し、活動拠点となる本部を設置 ○ 医療関係者は移動診療所設置のために現場調査を実施 ○バラコット地域中心の医療キャンプ地域で活動できるように場所を割り当てる。 |
||
10, 15(土) | ○ 医療チーム第二陣到着 | ||
10. 12(水) | ○ 06時パキスタンのイスラマバードに入国 ○ アブッダバードへ移動― 現地調査へ着手 ○ 韓国の緊急援助隊との打ち合わせ ○ ガラハビブラ地域の被害調査 ○ ゴルマ病院と打ち合わせ |
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10. 16(日) | ○ 医療チーム第二陣の活動開始 | 181 | |
10. 17(月) | ○物資の配給 ? バラコット ○ 第二陣の医療活動 |
120 | 小麦粉、砂糖、粉乳、毛布60枚 |
10. 18(火)(月) | ○第二陣の医療活動 ○パキスタン医師合流 ○04時45分キムヒジョン(看護士)、パクヒョンハ(医師)、放送関係者4名, ボランティア1名がパキスタン出国 |
130 | |
10. 19(水) | ○キムヒジョン, パクヒョンハ, 放送関係者4名, ボランティア1名韓国到着 ○物資配給ーバラコット、ガリヒビブラ ○第二陣の医療活動 |
170 | 緊急救護kit 448個 |
10. 20(木) | ○第二陣の医療活動 | 120 | |
10. 21(金) | ○第二陣の医療チーム午前医療活動 ○アフガニスタン所属のアフガン内科医師1名とカラチ総合病院パキスタン女性外科医師1名が全体診療を行なう |
120 | |
10. 22(土) | ○第一陣、第二陣 派遣者入国 (イビョンヒ、キムサンウ除外) |
120 | |
10. 23(日) | ○アフガニスタン医師1名とカラチ総合病院パキスタ女性外科医師 | 81 | |
10. 24(月) | ○アフガニスタン医師1名とカラチ総合病院パキスタン女性外科医師 | 105 | |
10. 25(火) | ○第三陣緊急援助隊の派遣 (6名) ○医協の医療チーム活動 |
70 | |
10. 26(水) | ○第三陣緊急援助隊到着 医薬品の整理及び医療のセッティング作業 ○医協の医療チーム活動 |
65 | |
10. 27(木) | ○第三陣緊急援助隊の医療活動の開始 ○テント300個, 毛布300枚の購入後、夜間移動 |
164 | テント300個 毛布300枚 救援KIT 52 個 |
10. 28(金) | ○‘商店街地域’でのテント及び毛布の配給作業 ○第三陣緊急援助隊の医療活動 |
170 | |
10. 29(土) | ○第三陣緊急援助隊の医療活動 | 206 | |
10. 30(日) | ○第三陣緊急援助隊の医療活動 ○商店街地域での移動医療活動 |
202 | |
10. 31(月) | ○第三陣、緊急援助隊の医療活動終了 ○イスラマバードに移動 |
75 | |
11. 1(火) | ○第三陣、緊急援助隊パキスタン出国 | 毛布30枚 (NIES支援) |
|
11. 2(水) | ○韓国到着 | ||
11. 22(火) | ○第四陣緊急援助隊の出発 |