子どもの食の貧困・体験の格差是正に向けて――実行団体の活動現場を訪問しました④(休眠預金活用事業)

困窮世帯の子どもたちは、十分な食事をとることや体験活動の機会を得ることが困難な場合があり、適切な支援が求められています。
この状況を受け、グッドネーバーズ・ジャパンは、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(所在地:東京都千代田区、理事長:二宮 雅也、英文名:Japan Network for Public Interest Activities、略称:JANPIA)の「2024年度 物価高騰及び子育て対応支援枠<第3回> 休眠預金等活用法に基づく資金分配団体」として、子どもの「食」や「体験」に関する課題を抱えた低所得のひとり親家庭等を支援する団体に対し資金的・非資金的サポートを行い、支援活動の促進に取り組んでいます。
グッドネーバーズ・ジャパンは2025年12月・2026年1月に、東京・大阪で活動する3つの事業実行団体の活動現場を訪問しました。
本記事では、各団体の活動の様子を訪問記録とともにご紹介します。
(各実行団体が実施する本休眠預金活用事業内容の詳細はこちらよりご覧いただけます)
一般社団法人タウンスペースWAKWAK
| 所在地 | 大阪府 |
| 申請事業名 | 低所得のひとり親家庭をはじめ社会的不利を抱える家庭のSOSを官と民、多セクター連携により発見し支援を届ける事業 |
本団体は大阪北部北摂エリアにて、多セクター連携を通じた食支援や学習支援に取り組み、社会的不利を抱える子育て家庭を支援しています。
グッドネーバーズ・ジャパンは今回、本実行団体が支援しているネットワークの一つとして、地域のハブ的な役割を担っている「しらかわ・いもとクリニック」(旧:しらかわクリニック)を訪問しました。
・地域を見守る医療機関との連携
今回の訪問では、事務長の小比賀さんにお話をうかがいました。


同クリニックは、公営住宅が多く立ち並ぶエリアに位置しており、前院長である白川医師が、地域に根ざした支援活動を開始されました。現在はクリニックを拠点に、地域の店舗や議員、NPOなどと連携したネットワークを形成し、地域住民の見守りを行っています。
また、クリニックはフードパントリーの拠点としても機能しており、本実行団体が実施している食支援についても、一度こちらに食品を集約した上で、必要に応じて各組織へ分配されています。食品は各組織間で融通し合いながら、支援が必要な方々へ行き渡るよう工夫されているとのことです。現場の実感として、食支援の需要は高まっており、支援活動を通じて子どもたちの家庭環境が見えてくる場面もあるそうです。
・多様な見守りのかたち
当クリニックでは月に1回、地域住民が自由に集える喫茶活動を実施しています。元介護職の方がサポーターとして関わり、ここでの相談をきっかけに医療機関につながるケースや、介護保険の対象外となる方をフォローすることもあります。さらに、小比賀さんは別途文庫活動にも取り組んでおり、子どもたちが参加できるお話会や宿題の見守りといった活動を行っています。

医療機関がこのように地域を支援する取り組みは全国的にも珍しいとのことで、地元の議員の方々が関心を寄せ、話を聞きに訪れることもあるそうです。
本実行団体によると、医療機関がコミュニティの核となることで、公的機関や議員からの信頼性が高まり、増え続ける地域の支援ニーズに応えていく上でも、重要な役割を果たしているとのことでした。
一般社団法人チョイふる
| 所在地 | 東京都 |
| 申請事業名 | 足立区における分散型フードセーフティーネット拠点の構築事業 (副題)分散型ネットワークで支える子どもたちの未来 |
本団体は東京都足立区における困窮子育て世帯に向けて、宅配による「こども宅食」やフードパントリーを通じた食支援を実施しています。また、オンライン・オフラインでの子どもの居場所づくりに取り組んでいます。
今回の訪問時は、支援の一環として催されたクリスマスイベントの様子を見学しました。
・親子の心に寄り添うクリスマスイベント
毎年開催されている恒例のイベント「クリスマス・イン・ザ・シティ」は、クリスマスシーズンに子どもも親も日々の喧騒を忘れ、みんなから歓迎されながら楽しい時間を過ごすことを目的としています。
当日は、子どもたちがクリスマスランチを食べたり、サンタクロースからプレゼントを受け取ったりと、終始笑顔で過ごしていました。イベント広場では、企業の協賛による多彩なワークショップが実施され、クリスマスリースやカード作りなどのクラフト遊び、体を動かすコンテンツ、体験型のプログラムなどが用意されていました。子どもたちは兄弟や友達、スタッフ、ボランティアと一緒に、思い思いの活動を楽しんでいました。


また、会場にはオンラインの居場所を体験できるコーナーも設けられており、イベントをきっかけに、継続的な関わりへとつなげていくことを目指しています。初めての体験に目を輝かせる子どもたちの姿が印象的でした。
この日は、普段食支援でつながっているご家庭を中心に、48世帯83人の子どもたちが参加しました。会場の運営は、企業や地域から集まった約100人のボランティアの方々によって支えられており、子ども一人ひとりに寄り添う温かい雰囲気の中でイベントが進められていました。
参加した保護者の方からは、「たくさんの温かい皆さまのお陰で、親子ともにとてもステキな、心がホッコリする良いクリスマス時間を過ごすことができました」といった声が寄せられました。
子どもたちにとっては特別な思い出となり、保護者にとっても安心して子どもを見守りながら過ごせる、クリスマスならではの大切な時間となった一日でした。
特定非営利活動法人夢職人
| 所在地 | 東京都 |
| 申請事業名 | 経済的に困窮する子育て家庭への食と体験の緊急支援事業 |
本団体は、地域の飲食店と連携したデジタルクーポンを活用した食支援や、親子で参加できる体験活動の提供を通じ、経済的に困難を抱える子育て家庭を支援しています。
今回は、食支援活動の現場に伺いました。
・地域とともに進める食支援
当実行団体が食支援活動で連携しているお米屋さん「かめた」を訪問しました。ここでは、支援対象家庭がデジタルクーポンを利用し、希望するお米を購入できる仕組みを導入しています。

オーナーの方によると、知人からの薦めをきっかけに、「地域のためになるなら」という思いでこの取り組みを始めたそうです。現在では、利用者の方々とのコミュニケーションが楽しみになり、感謝の言葉やコメントが大きな励みになっていると語ってくださいました。中には、生活が安定しクーポンを利用しなくても良くなったご家庭が、引き続きお米を購入しに来ることもあるそうです。「支援を続けていて良かった」と感じる瞬間だと話してくれました。
さらに、こちらでは玄米を精米してお渡しするため、初めて見る精米機に興味津々になるお子さんもいるとのことです。単なるお米の提供にとどまらず、食育の場としての役割も果たしています。 このように、デジタルクーポンは、困難を抱える子育て家庭を地域全体で支える大切な仕組みとなっています。


・デジタルクーポン導入の背景
本実行団体がこの仕組みを地域に導入したきっかけは、新型コロナウイルス禍でした。子ども食堂やお弁当配付において、食中毒リスクや食材の準備数を予想しにくいという課題がありました。そこで、地元のお店との話し合いから「必要なときに、すぐ食材を受け取れる形が良いのでは」というアイデアが生まれ、デジタルクーポンの仕組みが取り入れられました。
また、ご家庭からは「日時が決まっていると受け取りが難しい」という声もありました。お店と家庭、双方の意見を踏まえた結果、この仕組みが最も適していると判断し、企業の協力を得て取り組みがスタートしました。
当実行団体は、この活動が地域の人と人をつなぐ架け橋となることを願いながら、支援に取り組んでいます。
(当実行団体では、支援活動の一環として、子育て家庭に体験活動を提供しており、バスツアーの実施にも取り組んでいます。活動の詳細については、同団体サイトに掲載の活動報告記事よりご覧いただけます。)
今回の訪問を通じ、各団体が地域とともに子どもたちを支えるため、着実に活動を展開していることを実感しました。
グッドネーバーズ・ジャパンは、こうした現場の取り組みがより良い成果につながるよう、今後も実行団体に対して適切なサポートを行い、支援活動を促進してまいります。
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▶ 本休眠預金活用事業の詳細等はこちらのページからご覧いただけます
https://www.gnjp.org/work/domestic/kyumin2024/
▶ 休眠預金等活用とは
「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)に基づき、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度として、2019年度より開始されました。(参考:JANPIA Webサイト)




