【連携企業】三井住友トラストグループ様:「自分にもできることがある」から始まる支援――社員と築くフードドライブ活動
銀行機能、資産運用・資産管理機能、不動産機能などを持ち、多岐にわたって金融サービスを提供する三井住友トラストグループ様は、2024年、創業100年を迎えました。
地域社会への貢献活動の一環として、ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」を通じ、社員の皆さまでフードドライブに2024年から取り組んでくださっています。

企業ご担当者インタビュー 三井住友トラストグループ 田中秩史 様
子どもの貧困の現実に衝撃を受けて
―― まず、フードドライブを始めたきっかけを教えてください。

田中さま 当グループでは、本業を通じた社会貢献に加え、寄付・協賛・ボランティア活動などを通じて、幅広い社会貢献活動に取り組んでいます。
フードドライブについては、もともと子会社である三井住友信託銀行の幾つかの営業店部で実施していましたが、当グループのボランティア活動の活性化を進める中で、社員が「自分事」として捉えやすく、実際の行動につながりやすい活動であると考え、グループ全体で取り組むことにしました。
補足ですが、当グループでは2023年度より、業務部・人事部・総務部の3部門が連携し、さまざまなボランティア・プログラムの企画・運営を行っています。さらに、2024年夏には、社会貢献に関心を持つ社員によるボランティアサークル活動がスタートし、現在、約180名の社員が参加しています(2025年9月現在)。
―― 数あるNPOの中で、連携先としてグッドネーバーズ・ジャパンを選んでくださった理由をお聞かせいただけますか。
田中さま グッドネーバーズ・ジャパンのスタッフの方から「学校の長期休み中、1日3食を食べられない子どもが増える」という話を伺い、衝撃を受けました。

その事実を社内で共有したところ、「自分にも子どもがいるけれど、こうした現実を知らなかった」「何かできれば」といった声が寄せられ、支援の機運が高まりました。
また、グッドネーバーズ・ジャパンは支援対象が明確で、日本の未来を担う子どもたちの成長や安心を支える活動を行っている点も連携を決める大きな要因となりました。
―― ありがとうございます。「グッドごはん」の活動に対する印象を教えてください。
田中さま 「グッドごはん」は、寄付食品の管理体制がしっかりしていることや、対面での食品配付などを通じて利用者の方々に寄り添ったコミュニケーションを図られている姿勢が印象的です。また、「グッドごはん」の食品倉庫や配付現場を見学した際、スタッフの方々の心のこもった対応や責任感にも信頼を持ちました。
支援方法も多様で、食品の持ち込みに加え、Amazonの「ほしいものリスト」を通じた寄付、お金の寄付など、支援の選択肢が複数あることも参加のしやすさにつながっていると思います。

社員の“共感”から広がる支援の輪
――実際にフードドライブを実施される中で、貴社内での反応はいかがでしたか?
田中さま 回を重ねるごとにフードドライブを行う拠点が増え、自発的に取り組む拠点も現れるなど、前向きな反応が広がっています。
当グループの社員は、“なぜこの取り組みを行うのか”という背景を理解したうえで参加したいという意識が強くあります。そのため、グッドネーバーズ・ジャパンのスタッフの方に事前説明会を行っていただくと共に、「グッドごはん」利用者の声やメッセージを社内で共有し活動の背景や意義を伝えることで、共感や納得感がより深まりました。
実際に、「今後も取り組みを続けたい」「少しでも力になりたい」といった声が多く寄せられています。
また、グッドネーバーズ・ジャパンから届く活動レポートも社員から非常に好評です。自分たちの支援がどのように役立てられているかを具体的に知ることで、活動の“その後”に触れることができ、「やりっぱなしにしない」という姿勢が社員にも伝わっています。その結果、「今後も継続して協力していきたい」と感じる社員が増えています。
―― そのようなお声をお聞きでき光栄です。
フードドライブに参加された社員の皆さまの姿や言葉で、印象に残っているものがあれば教えてください。
田中さま フードドライブでは、社員がそれぞれ食品を持ち寄るのですが、「お正月だから、お餅を食べてほしい」など、寄付する食品に気持ちを込める社員が増えてきているのが印象的です。
またある時は、台車いっぱいにお米を運んできてくれた社員もいて、心からの思いを感じました。こうした一人ひとりの思いや行動が、活動の広がりと継続につながっていると感じています。

工夫と対話で、グループ全体へ展開
―― 当初、フードドライブ活動は本店ビルのみで行われていたものの、徐々に全国各地の拠点にも活動が広がっていったとお聞きしました。取り組みを社内で広げるために、どのような工夫をされたのでしょうか?
田中さま メールでの案内に加え、拠点ごとに社内放送やポスター掲示などを活用し、デジタルとアナログを組み合わせた地道な周知活動を続けています。
その結果、ポスターを社員の目に留まりやすい場所に自主的に掲示する拠点も現れるなど、それぞれが「自分にできる工夫」を重ねながら取り組みが広がっていきました。
―― 丁寧な工夫が広がりにつながっていったのですね。
社会貢献活動に社員の方々を巻き込むうえで、大切にしていることはありますか?
田中さま 社員との対話を重ね、「身近なことからできることがある」と感じてもらうことが、参加のきっかけづくりにおいて重要だと考えています。
最近では、グッドネーバーズ・ジャパンのスタッフの方に、分身ロボット「OriHime」を通じて北浜(大阪)拠点のフードドライブ会場と遠隔接続いただき、社員との交流や「グッドごはん」の事業説明などを行っていただきました。
このような機会を通じて活動の意義を理解し、「自分にもできることがある」と実感してもらうことで、自然な形で参加の輪が広がっていくと感じています。

「企業市民として、社会貢献を」──担当者としての思い
―― ご担当者として、どのような思いを込めてこの活動に取り組んでおられますか?
田中さま 私は、企業市民として、地域や社会に貢献することは企業の重要な責務だと考えています。担当者として、地域社会・NPOと当グループとその社員の橋渡し役を担うという意識を持ちながら、フードドライブ活動に真摯に取り組んでいます。
また、こうした活動は“継続”が何よりも大事だと考えています。継続の重要性を認識している社員が多くいますので、社内へより一層の協力を呼びかけながら参加の輪を広げていきたいと考えています。
―― グッドネーバーズ・ジャパンに期待することがあれば教えてください。
田中さま 今後、より多くの地域で「グッドごはん」の活動が展開されていくことを期待しています。
現在、首都圏、近畿圏に加え、九州に活動拠点を設けておられますが、そのおかげで各拠点の社員も活動をより“自分事”として捉えることができ、実際にフードドライブの取り組みにつながりました。やはり、自分が暮らす地域や働く場所で支援活動が行われていると実感できることで、社員の参加意欲や共感はぐっと高まります。「自分たちの支援が、地域の誰かに届いている」と認識することで、継続のモチベーションにもなると思います。
今後も、可能であれば、さらに多くの地域へ活動を広げていただけると嬉しいですし、私たちとしても、そうした広がりを応援していきたいと考えています。
―― 励みになるお言葉をありがとうございます。より多くのご家庭に支援を届けられるよう、引き続き精一杯努力してまいります。
それでは最後に、これから社会貢献活動に取り組もうとしている企業や個人の方々に向けて、メッセージをお願いいたします。
田中さま 当グループでは草の根的に社会貢献活動を始め、できることから一つずつ積み上げています。社員との対話を重ねながら、「自分たちにもできることがあるんだ」と気づいてもらうことが、最初の一歩になると思っています。
実際に当グループでも、「個人ではなかなか行動に移せないけれど、会社から紹介された活動なら参加してみよう」と感じてくれる社員も少なくありません。
社会貢献活動は、最初は「自分には遠いもの」「関係のない世界」と思われがちかもしれません。でも、実はとても身近なところに課題があることに気づき、そこに目を向けて少しずつ行動していく。その積み重ねで変化を生み出すことができると信じています。
――まさに“できることから少しずつ”という姿勢が、多くの社員の方々の心を動かしているのだと感じました。
一歩一歩を丁寧に積み重ねていくことの大切さ、そしてその積み重ねが確かな変化につながっていくというお話に、私たちも改めて背筋が伸びる思いです。貴重なお話をありがとうございました。
企業・法人の皆さまへ
ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」では、より多くのご家庭を支えるため、支援にご協力いただける企業・法人の皆さまを募集しております。支援にご関心をお持ちいただける企業・法人さまは、下記のページをご覧ください。
https://www.gnjp.org/csr/foodbank/
<グッドごはん事業における企業・法人連携に関するお問い合わせ先>
グッドネーバーズ・ジャパン法人担当
TEL:0120-916-010 Eメール:ggfr@gnjp.org




