世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2014.08.21 活動報告

ネパール  カマイヤ制度 ~真の自由への旅路~

人生で大切なことの1つ、「自由」。

ネパールでは、何年も、または何世代にも渡って借金返済のために、自由を奪われ続け生活してきた人々がいます。その人たちは、ネパール南部に古くから存在する奴隷労働制度のもとで働く人々で、「カマイヤ」と呼ばれています。また、同様に奴隷として働く少女たちを「カマラリ」と呼びます。カマイヤあるいはカマラリとして従事する人たちは、暴力、性的虐待、過酷な肉体労働など劣悪な労働環境で働くことを余儀なくされています。
ネパール政府は奴隷労働解放を宣言しましたが、突然の出来事に、住民たちがカマイヤの自由を支持することは容易ではありませんでした。 そのため、カマイヤとして働いていた女性たちは今まで通りあるいはそれ以上に苦しい環境に置かれました。
グッドネーバーズは2007年からカマイヤの人々が再び自由を取り戻すための支援プロジェクトに取り組んでいます。

奴隷から地域のリーダーになったフールさん

フールさんは、借金返済のために朝早くから夜遅くまで地主の農場で夫と一緒に働いてきました。彼女の家族は、ネパール政府が奴隷労働解放宣言をする以前から3世代に渡って、24年もの間6人の地主たちの奴隷として苦しんできました。
フールさん自身、いつ自分が奴隷として働き始めたかわかっていません。また、2人の娘と息子も洗濯、皿洗い、羊や牛の世話をして地主の身勝手な要望に応えなくてはなりませんでした。これらの労働による賃金は信じ難いほど少ないのが現状です。生き延びるためには、地主からお金やお米を借りなくてはなりませんでした。
フールさんは、「食べる物すらも満足にない状況で、自分の子どもたちを学校に送ることになるなんて夢にも思わなかった。」と語っていました。

※ 写真は本文の女性とは関係ありません

待っていたのは、さらに貧しい生活

2000年7月17日、ネパール政府は全カマイヤの解放宣言を行い、彼女たちの借金を弁済し、奴隷労働を禁止しました。しかし、奴隷労働の禁止にも関わらず、カマイヤとして従事していた人々は以前と同様に苦しむことになりました。 今までは、カマイヤとしてひどい扱いを受けながらも、わずかな賃金をもらうことができ、食べ物や寝る場所も十分とは言えませんが、何とか確保できていました。
その一方で、政府は突然奴隷労働を禁止しただけで支援制度はなく、カマイヤとして従事していた人々には、食べ物や寝る場所さえも与えられませんでした。時おり、政府による生活必需品の配給はありましたが、それは決して十分ではなく、なかにはカマイヤであった当時の方がずっとましだったと嘆く人々もいました。

フールさん一家は、解放宣言後に小屋を建てましたが、政府が管理する敷地内であったため建設は厳しく制限され、小屋を建てる度に、政府によって焼き払われてしまいました。そのため、フールさん家や他のカマイヤに従事していた人々は、一定の規模の土地が与えられるまで、政府に対する抗議を続けました。
フール夫妻は街へ仕事を探しに行きましたが、不規則な仕事や経済的に厳しい状況のため、家族が離れ離れになってしまいました。子どもたちは学校で勉強するかわりに、働かなければなりませんでした。フールさんの息子が親戚の家で家畜の世話を行い、娘たちは他の家庭の使用人として働いていました。
フールさんたちはカマイヤではなくなりましたが、以前より一層貧しく、さらに飢えを経験する生活を送らなくてはなりませんでした。

機会提供による新たなスタート

2007年、グッドネーバーズはフールさん一家の住む村を訪れました。村全体が貧しく、多くの家庭が経済的に厳しい暮らしを強いられているその村で、グッドネーバーズはコミュニティ開発プロジェクトを開始しました。
このプロジェクトでは教育、医療、保健、衛生、収入向上、アドボカシー等、多岐にわたる支援を行っています。 フールさんは制服の提供や授業料の支援により、自分の子どもたちを学校に行かせることができました。

インタビューでフールさんはこのように話してくれました。

「私はグッドネーバーズのおかげで子どもたちを学校に送ることができました。でもこれははじまりにすぎません。一番の恩恵は、生きるための自信、生きようとする気持ちをもう一度持てたことです。」

ネパールで裁縫の訓練を受ける女性たち

グッドネーバーズの支援が始まってから今年で7年が経ちました。 フールさんは、グッドネーバーズがネパールで力を注ぐ母親組合のリーダーを務め、入学の手続き、早婚への反対、村の清掃等の活動等を通して村に変化をもたらす取り組みをしています。
また、彼女はウコンを栽培している17人の女性グループメンバーの1人で、栽培したウコンの販売によって、これまでに125,000ルピー(約13,000円)売り上げました。さらには、フールさんはプロジェクト管理委員会の議長も務めており、コミュニティの人々が安定した収入を得られるよう地域の集まりへの参加を推奨しています。

奴隷労働からの自由を与えられたにも関わらず、その後も苦しい生活を余儀なくされたカマイヤの女性たち。グッドネーバーズは彼女たちが自分らの足でしっかり歩んでいけるよう支援を続けてきました。彼女たちが最大限に自由を享受し、自立した生活を送ることができるように、これからも住民に寄りそった支援を行っていきます。

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