世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2025.12.23 活動報告

子どもの食の貧困・体験の格差是正に向けて――実行団体の活動現場を訪問しました③(休眠預金活用事業)


困窮世帯の子どもたちは、十分な食事をとることや体験活動の機会を得ることが困難な場合があり、適切な支援が求められています。
この状況を受け、グッドネーバーズ・ジャパンは、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(所在地:東京都千代田区、理事長:二宮 雅也、英文名:Japan Network for Public Interest Activities、略称:JANPIA)の「2024年度 物価高騰及び子育て対応支援枠<第3回> 休眠預金等活用法に基づく資金分配団体」として、子どもの「食」や「体験」に関する課題を抱えた低所得のひとり親家庭等を支援する団体に対し資金的・非資金的サポートを行い、支援活動の促進に取り組んでいます。

グッドネーバーズ・ジャパンは2025年12月、九州で活動する4つの事業実行団体の活動現場を訪問しました。
本記事では、各団体の活動の様子を訪問記録とともにご紹介します。

(各実行団体が実施する本休眠預金活用事業内容の詳細はこちらよりご覧いただけます)

特定非営利活動法人空家・空地活用サポートSAGA

所在地佐賀県
申請事業名 コミュニティフリッジ利用者200世帯の子供の体験格差解消事業(副題)地域CSO・企業との連携による継続した体験格差解消を目指す 

本団体は、佐賀市における約200世帯のひとり親家庭を対象に、食品支援と子どもの居場所づくりを行っています。
グッドネーバーズ・ジャパンは今回、食品をいつでも受け取れる「コミュニティフリッジ」と、子どもたちが安心して過ごせる「居場所そら」を訪問しました。


・必要な食品を選べる、利用しやすい支援の仕組み
ひとり親家庭が24時間365日食品を引き取りに行ける、「コミュニティフリッジ」。用途ごとに色分けされた棚に多様な食品が並んでおり、利用者が必要に応じて選んで持ち帰ることができる仕組みが整えられています。

「コミュニティフリッジ」施設内の様子

冷蔵庫には野菜などの生鮮品も揃い、日常的に活用しやすいラインナップとなっていました。中でも、依然として価格が高止まりしているお米については、農家の方々の協力により提供されており、大切な支援食品の一つとなっています。

冷蔵庫内の野菜
棚に並べられたお米

利用者同士がコメントを共有するメッセージコーナーでは、冷凍庫内の食品がなくなると札の付け替えで知らせる仕組みが新たに導入されるなど、より使いやすい空間を作る工夫が随所に見られました。
また、施設内にはイベントのお知らせも掲示されており、食支援にとどまらず、体験の機会提供にも力を入れています。実際に、イベント参加をきっかけに子どもたちのつながりが生まれ、「居場所そら」へ足を運ぶ子どもが増えるなど、活動が広がりを見せていました。


・子どもたちが安心して集う場所
続いて訪問した「居場所そら」ではこの日、10名を超える子どもたちが集まり、保護者の方(ママスタッフ)の周りで談笑したり、友達と遊んだりする姿が見られました。子どもたちは初対面同士でもすぐに関係を築けるようになるなど、子どもたちのコミュニケーション力が育っている様子がうかがえるとのことです。
この場所に隣接して、同団体が運営する「空家・空地活用」の事務所があり、当日も2組の相談者が訪れていました。不動産事業を通じて築かれた地域の人脈が、食品支援や居場所づくりにも活かされていることがわかり、活動の広がりを実感しました。

NPO法人いるか

所在地福岡県
申請事業名 福岡県における困窮世帯のこどもやひとり親家庭等への食提供及び体験事業 

本団体は、福岡県内の生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもたちを対象に、急速冷凍弁当の製造・配布を中心とした食支援を行っています。また、学習支援や食事の機会の提供を通じた子どもたちへの居場所づくりにも取り組んでいます。
今回の訪問時は、本団体が連携先へお弁当を届ける場面に同行しました。


・地域との連携で支える食事の時間
本団体の連携先は複数あり、それぞれ週に1度のペースでお弁当を届けています。今回訪れたのは、「生活困窮者支援と就労が難しい若者の活躍の場づくり」にかかる活動が行われている拠点でした。
現場では、当実行団体の支援で用意されたお弁当を保護者や子どもたちが受け取る姿が見られました。高校生が家族の分を持ち帰るケースもあれば、その場で食事をとる子どももおり、家庭の状況に合わせて多様な形でお弁当が活用されていることがわかりました。

連携先でのお弁当受け渡しの様子
受け取ったお弁当を食べる方々

その場で実際にお弁当を味わったひとり親家庭の保護者(未就学児2名と来所)にお話を伺うと、「週に一度でも、調理せずすぐに食べられるのはありがたい。フルタイムで働いたあと、子どもの世話や家事で手一杯。ここで食事を済ませて帰れると、片付けの負担もなく助かっている」という声が聞かれました。
また、事業スタッフなど複数の大人が見守る中で、親子が安心して食事ができることも、大きな支えになっていると感じられました。

今回の訪問を通じて、一つの団体だけでは届きにくい支援も、地域の拠点と連携することでより細やかなケアにつながっていることが実感できました。


特定非営利活動法人フードバンク北九州ライフアゲイン

所在地福岡県 
申請事業名 子どもの安心安全な居場所づくりにつなぐための食料支援を基盤としたつながりづくり事業 

本団体は、北九州市で経済的な困難を抱える子育て家庭を対象に、食料支援や居場所づくりを実施しています。また、支援対象家庭の状況に応じて、連携先の福祉施設や行政機関へつなぐ「つながりづくり」支援を行っています。
今回は主に、子どもたちへの居場所支援の活動を見学しました。


・子どもの成長を支える居場所と、地域に広がる思い
子どもたちの居場所づくりの場として運営されている、「つきだテラス」。当日は小中学生が10名ほど集まり、思い思いの時間を過ごしていました。
小学生の頃から通い続け、中学生になった子どもとスタッフがコミュニケーションをとる姿も見られ、時間をかけて築かれてきた信頼関係が感じられました。

館内の食品管理倉庫では、給食のない冬休みに向けたクラウドファンディング「お腹いっぱい大作戦2025」の準備が進められていました。
食品倉庫には、パッキング用の段ボールや、クリスマス特別パッケージの食品、身体が温まる食材など、季節を意識した品々が所狭しと並び、子どもたちが楽しい年末年始を迎えられるようにとの思いが伝わってきました。これらの食品は、一斉発送に向けて、数回に分けてボランティアと協力しながら梱包作業が行われる予定です。

食品倉庫の様子

続いて、実行団体が連携する児童福祉施設や支援団体の子どもたちが、「夢」や「好きなこと」をテーマに描いた作品の展示会を見学しました。スタッフによると、絵柄やペンネーム、キャプションの書き方から「誰の作品かすぐにわかるほど」とのこと。子どもたち一人ひとりの感性が輝く作品が並び、「地域にとって子どもたちはかけがえのない宝物である」という思いが感じられる展示となっていました。

展示会の様子

一般社団法人福岡国際市民協会

所在地 福岡県 
申請事業名 福岡県における海外ルーツの子育て家庭を含む低所得家庭の子どもを対象にした食支援および体験活動の提供 

同団体は、非課税世帯やひとり親家庭など生活に困難を抱える家庭、さらに外国にルーツを持つ家庭に支援が届くよう、食支援および体験活動を提供しています。
今回は、子ども食堂の現場を訪問しました。


・多文化が交わり、地域で子どもを育む場へ
訪問日は、外部協力先で子ども食堂が実施される日でした。会場の入口では、来場者が分かるよう丁寧に受付が行われ、子どもたちが元気よく挨拶しながら入ってくる姿が印象的でした。
普段は飲食店を営む協力者の方が調理した料理が並び、子どもに人気の定番メニューから家庭ではなかなか登場しないような料理まで、幅広い品が提供されていました。子どもたちは各々好きな料理を選び、テーブルを囲んで楽しそうに食事をしていました。

食事風景 
ふるまわれた料理

会場では、子ども同士のコミュニケーションも活発で、小学生が低学年や未就学児に自然と声をかけたり、一緒に遊んだりする姿が見られました。保護者同士も「久しぶり」と声を掛け合いながら、子育ての悩みを共有するなど、互いに相談し合う関係性が印象的でした。
外国にルーツを持つ家庭も多く、多言語が飛び交うにぎやかな空間となっていました。母国語で安心して話せる環境でありながら、日本での生活を助け合う場としても機能しており、日本人家庭にとっても自然に異文化に触れられる貴重なコミュニティとなっています。
また、会場では食堂の利用だけでなく、食材支援を受け取りに訪れる家庭の姿もありました。

会場は住宅街に近い立地であるため、子どもの声や活動時間への配慮が必要であり、近隣理解を得ながら運営を続けることも重要な課題となっています。


・行政との協働と子どもたちへの体験機会の創出
当実行団体は、困窮世帯への支援に加え、外国ルーツの家庭が抱える生活上の困難にも向き合っており、その取り組みは行政からも注目されています。近年では、就労支援やビザ更新手続きのサポート依頼が寄せられるなど、行政との連携が少しずつ深まりつつあります。
また、困窮子育て家庭に向けた体験イベントも実施しており、大学の見学や、地元の有名ラーメン店の工場見学、寺院をめぐるバスツアーなどを開催しています。イベントの際、新鮮な光景に目を輝かせる子どもたちの姿が印象的とのことです。



各実行団体は、地域と密に連携しながら、子どもたちの成長を支える活動を推進しています。
グッドネーバーズ・ジャパンは、こうした現場の取り組みがより良い成果につながるよう、今後も実行団体に対して適切なサポートを行い、支援活動を促進してまいります。



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▶ 本休眠預金活用事業の詳細等はこちらのページからご覧いただけます
https://www.gnjp.org/work/domestic/kyumin2024/

▶ 休眠預金等活用とは
「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)に基づき、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度として、2019年度より開始されました。(参考:JANPIA Webサイト

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