大人が吸うためのタバコを巻く。少女たちを救う方法とは?

バングラデシュに暮らす9歳のミーナと11歳のミーム。2人の少女の共通点は、タバコ工場で働いていることです。

タバコ工場で働くミームちゃん

大人が吸うタバコを子どもが巻いている

大人の嗜好品であるタバコ。これを巻いているのがご自身の子どもだとしたら、あなたはどのように思われますでしょうか。

「ガル」と呼ばれるタバコがあります。粉状の原料を使っているのが特徴である「ガル」の製造工場には、常にタバコの微粉が舞っています。大人でも息苦しく、長く働くと健康に深刻な影響を及ぼすことは明らかです。

バングラデシュの首都ダッカの北西にあるスラムで暮らすミーナ。少女が働くのは、そんなタバコ工場です。

 9歳の少女が小さな手でタバコを作る8時間 は、学校で勉強するはずの時間だけでなく、健康や将来の可能性をも奪っています。

タバコ工場で働くミーナちゃん

同じバングラデシュに暮らす11歳の少女ミーム。彼女は訴えます。

「タバコの粉のせいで、咳と涙が止まりません。息をするのも苦しいです。でも、3人の妹のために私が働かないと。」

彼女は9歳の時に、父親を心臓発作で失ったそうです。 大事な娘をタバコ工場で働かせる。生きていくために、そんな決断をせざるを得ない母親がいるのです。 

児童労働の先にあるのは?

児童婚という言葉があります。18歳未満で結婚することを指しています。

バングラデシュでは、児童婚をする少女の割合が、なんと59%※1にのぼります。また世界では毎年、思春期の少女7万人※2が、妊娠と出産の合併症によって亡くなっているそうです。

この児童婚から逃れる方法の一つが、学校に通い続けて、生きていくのに必要な力を身につけることです。

逆に学校に行かずに働くこと、つまり 児童労働は、女の子にとっては早すぎる結婚をする可能性が高くなることを意味します 

9歳のミーナと11歳のミームの将来には児童婚という新たな脅威が待ち受けているのです。

9歳のミーナには児童婚という新たな権威が待ち受けている

子どもたちが働く「危険な職場」とは?

 子どもたちが働く「危険な職場」は、実はほかにもたくさんあります 
健康への影響が懸念されるタバコ工場や、火花が飛び散る金属加工の工場。

危険な職場

少しでもお金に換えられるものを探して、割れたガラス瓶などが散乱するゴミ捨て場で働くことも。

子どもたちの多くは、低賃金で長時間働かされているだけでなく、安全できれいな水や衛生的なトイレを使うこともできません。
そのため、健康を損なっているケースも多々あります。
その上、 学校に行くべき時間に働いているので、将来、自立するのに必要な知識や思考力を身に付けることが難しいのです 

「児童労働」はどうすればなくなる?

貧困などの理由から児童労働を強いられている、ミームやミーナのような子どもたちは、世界で1億5,200万人※3もいるといわれています。
なんと、日本の人口よりも多いのです。

児童労働

この子どもたちが、児童労働から解放され、学校に行けるようにするには、どうすればいのでしょうか?

 児童労働には、複雑な背景があり、一時的にモノやお金を寄付するだけでは解決しません 
 長期的に彼らを見守り、支援していくことが必要です 
こうした活動を支える仕組みのひとつが、「子どもスポンサー」です。

「子どもスポンサー」ってなに?

 「子どもスポンサー」は、子どもたちの「こころ」と「身体」の成長を、継続的かつ長期的に見守るプログラム 
1回だけ寄付をして終わりというのではなく、子どもたちの親や親せき、近所の人のように、子どもたちが成長するまで見守ります。

学校

子どもスポンサーを運営しているのは、グッドネーバーズ・ジャパンという国際NGOです。現在は、インド、インドネシア、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、エチオピア、チャドで、子どもたちが支援を待っています。

「子どもたちが働かなくて済むように、助けになりたい」「現地には行けないけど、自分にできることをしたい」という方は、ぜひホームページで詳しくご覧になってください。

 


※1「世界子供白書2017」
※2「世界人口白書2013」
※3 国際労働機関(ILO)の報告書 Global Estimates of Child Labour: Results and Trends, 2012-2016 より。「児童労働」とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働を指します。