知ってほしい!

ひとり親家庭の7割 養育費をもらえていない

親の離婚や別居の後でも、
子どもが自立できるようになるまでに必要なお金。
それが「養育費」です。
本来は、離れて暮らす親も
その費用を分担する義務があります。

しかし、実際にはーーー
日本では、7割以上のひとり親家庭が養育費を受け取れていません。
(母子世帯 28.1%/父子世帯 8.7%)※1

私たちグッドネーバーズ・ジャパンは、こうした「養育費が受け取れていない現実」を、単なる家族のトラブルではなく、この国の仕組みそのものに潜む課題として捉える必要があると考えています。

主語子ども

養育費は子どもが育つためのお金

養育費は、別れたパートナーへの慰謝料でも、親子交流(面会交流)の見返りでもありません。子ども自身が育ち、学ぶために必要なお金です。毎日の食事や学校・習い事で使う道具、医療や進学など、子どもの成長と将来に欠かせない基盤です。

しかし相手が行方不明になったり、頻繁に支払いが滞る場合、そうした相手に対して手続きややり取りを継続することは、仕事と子育てと家事を一人で背負うひとり親にとって時間や心理的負担となります。

  • 「養育費の未払いが3年続いていて収入が足りない。
    差し押さえや強制執行したいが費用もなく、職場も分からず連絡もつかない。」

  • 「(相手が)うつ病で働けず、障害手帳をもらい生活保護になったと連絡がありました。
    請求することもできず、どうすればよいのかもわかりません。」

  • 「身体的、精神的暴力をふるってきた元配偶者に養育費を請求するのはハードルが高い。
    今から養育費について話をすると向こうの出方が怖い。命に関わる問題。」


グッドネーバーズ・ジャパン「ひとり親家庭の養育費に関するアンケート」(2024年実施)より

・実施日程:2024年8月9日~8月25日

・対象者:グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」の利用者。原則、ひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る。(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)

・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)

・回答者数:1,481名

・回答者属性:

– 性別:女性 1,435名|男性 29名(無回答除く)

– 年代:10代 0名|20代 53名|30代 349名|40代 756名|50代 313名|60代以上 9名(無回答除く)

– 居住地域:首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉)692名|近畿(主に大阪・京都・兵庫・奈良)529名|九州(主に佐賀・福岡)260名

その結果として、本来子どもに必要なお金が安定して届かない状況が生まれています。支払う側の不払いや支払い能力の低さはもちろん、受け取る側の時間的・心理的な消耗の影響も、子どもの心の安定や将来に跳ね返ります。

双方の事情

なぜ未払い・不払いが
起こるのか

子どもと離れて暮らす親にも、
親権の有無にかかわらず、
養育費を支払う義務がありますが、
さまざまな背景のもとで
「未払い」が生じている現実があります。

支払う側

支払いが止まる/支払わない背景

  • 収入減や失業により支払いが
    難しくなる
  • 養育費の制度や相場を十分に
    理解していない
  • 金額に納得できていない
  • 再婚などによる生活の変化
  • 別居や単独親権で親子関係が
    薄れたと感じる
  • 養育費の使途や元配偶者への
    不信感がある
  • 相手にお金を取られる感覚への
    抵抗感がある
  • 親子交流を拒まれた上で義務
    だけ求められ
    不公平だと感じる
  • 支払いを強制する仕組みが十分でない

「払えない」「納得できない」
「払う必要を感じない」状況が生じる

受け取る側

請求できない背景

  • 相手に収入がない
  • 取り決めや
    請求の手続き・制度
    がわからない
  • 時間や心理的な負担が大きい
    負担は子の養育費が必要な期間が終了する
    まで続く
  • DVなど安全上のリスクがある
  • 相手の所在や連絡先がわからない
  • 弁護士や民間のサービス費用が
    払えない

「請求したくてもできない」状況が生じる

こうした事情がある中でも
基本的に養育費の確保は
個人間での交渉や
対応に委ねられている
ため
未払いが解決されないまま
続いてしまう構造が生まれています

なぜ、動けないのか?

1.「取り決め」のハードル

養育費は、後からまとめて請求することが実務上難しいため、早い段階で取り決めをしておくことが重要です。しかし、実際に取り決めをしている世帯は母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%※1にとどまります。取り決めの交渉そのものが難しい状況にある人も多いのです。

相手と養育費の取り決めをしなかった理由(最もあてはまるものを一つ選択)

取り決めが難しい理由

グッドネーバーズ・ジャパンが行った調査※2で、ひとり親(子どもの親権者)に対して「取り決めをしなかった理由」を尋ねたところ、以下のような理由が挙げられました。

  • ・暴力やハラスメントを受けていたため、
    相手と関わりたくなかった(26.0%)
    ・暴力やハラスメントを受けていたため、
    相手と関わりたくなかった
    (26.0%)
  • ・相手の収入が不安定だった
    (22.1%)
  • ・精神的な負担が大きかった
    (16.7%)
  • ・相手が取り決めを拒否した
    (14.7%)

取り決めをしても、
受け取れないこともある

たとえ取り決めをしても、途中で支払いが止まるケースも多く見られます。
実際に、取り決めをしている世帯での受け取り状況を見てみると、
現在も受け取れているのは母子世帯で57.7%、父子世帯で25.9%※1にとどまると推定されます。

2.「請求」のハードル

受け取る側には養育費の支払いを請求する権利があり、
取り決めがなくても請求はできます。
しかし実際には、次のような手続き、さらには費用面での負担が必要になります。

必要な手続き

  • ・家庭裁判所への申立て(書類作成・提出)
  • ・裁判所への複数回の出席(平日の日中)
  • ・相手方との調整や意見のやり取り

必要な費用負担

  • ・弁護士に依頼した場合の費用
  • ・仕事を休むことによる収入の減少

これらを、仕事・家事・育児を一人で担いながら続けていくことは、
物理的にも精神的にも、決して容易なことではありません。
その結果、途中で手続きを断念してしまうケースも少なくないのです。

請求手続きを
途中で断念してしまうケース

  • ・取り決めできない
  • ・取り決めをしていない場合の請求が難しい
  • ・取り決めをしても支払いが止まる
  • ・取り決めをしても差し押さえの手続きが煩雑

その結果
子どもに必要なお金が安定して届かない状況
生まれています

子どもファースト 保証される社会

2026年4月、民法が改正され、養育費の支払い確保に向けた制度が見直されました。(ただし、これは新たに離婚する家庭にしか適用されず、すでに離婚している家庭の状況は変わりません。)

  • ・取り決めがなくても一定額を請求できる「法定養育費※3制度」の新設
  • ・取り決めがある場合に差し押さえをしやすくする「先取特権」の導入

これらは、大きな一歩です。 ただ実際には、

  • ・請求の手続きをする
  • ・必要に応じて差し押さえを申し立てる

といった対応は、今も個人が担う仕組みとなっています。
そのため、同居している親の手続き・交渉の能力や、別居している親の責任感に依存している部分が大きいのが現状です。

海外の制度はどうなっている?

欧米の一部の国などでは、養育費の確保を社会で支える、以下のような仕組みが進んでいて、養育費を「社会全体で守るべき大切なお金」として扱っているのです。

  • ・行政が養育費の回収を代行する
  • ・支払いが止まった場合、国が一時的に立て替える

日本でもすでに一部の自治体では、養育費の確保や立替払いの取り組みも始まっていますが、こうした制度はまだ一部にとどまっているのが現状です。
日本弁護士連合会が2020年に、未払いに対応するための「国による立替制度」を提案※4していますが、これからは、行政がより早い段階から関わり、子どもの生活を支える仕組みとして進化させていくことが課題といえそうです。

今日 たちにできること 私たちできること

子どもの養育費が
適切に確保できる社会に変えていくためには、
まず現状を正しく知ることから始まります。
詳細なデータや相談窓口の案内を
まとめましたので、ぜひご覧ください。
子どもの養育費が適切に確保できる社会に変えていくためには、
まず現状を正しく知ることから始まります。
詳細なデータや相談窓口の案内をまとめましたので、ぜひご覧ください。

非難ではなく、前進のために

養育費の問題は「父母間だけの金銭のやり取り」として捉えるべきものではないと、グッドネーバーズ・ジャパンは考えています。子どもの暮らしや成長に関わるものだからこそ、国や社会も関わりながら支えていくべきテーマではないでしょうか。子どもの福祉を守ることは、次の世代を育てていくことでもあり、いわば「社会への投資」ともいえます。 養育費の問題は「父母間だけの金銭のやり取り」として捉えるべきものではないと、グッドネーバーズ・ジャパンは考えています。
子どもの暮らしや成長に関わるものだからこそ、国や社会も関わりながら支えていくべきテーマではないでしょうか。
子どもの福祉を守ることは、次の世代を育てていくことでもあり、いわば「社会への投資」ともいえます。

2026年に始まった新しい制度を土台にしながら、国内外のさまざまな取り組みに学び、子どもたちの成長を社会全体で支えていく。そんな考え方を、社会に少しずつ広げていくことを目指します。 2026年に始まった新しい制度を土台にしながら、国内外のさまざまな取り組みに学び、子どもたちの成長を社会全体で支えていく。
そんな考え方を、社会に少しずつ広げていくことを目指します。

認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン

私たちは東京都に認定を受けている認定NPO法人です(6生都管第113号)

SNSフォロー・メルマガ登録をお願いします

  • Facebook
  • Instagram
  • X
  • メルマガ

※1 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」

※2 グッドネーバーズ・ジャパン「ひとり親家庭の養育費に関するアンケート」(2024年実施)

※3 離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子どもと暮らす親が請求できる、子ども一人あたり月額2万円の養育費です。取り決めができるまでの暫定的・補充的な措置として、2026年4月施行の改正民法で新設されました。2026年4月1日以降に離婚したケースに限り適用されます。

※4 日本弁護士連合会「養育費の不払い解消の方策に関する意見書」