ネパールからの報告:生理にまつわるはなし | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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~こころを守る。身体を守る。~ 
グッドネーバーズは、日本国内を含む世界40カ国以上で子ども支援、開発、緊急支援活動に取り組む国際NGOです。

こんにちは!海外事業部の佐藤です。

 

昨年12月からネパールに駐在しています飛行機

 

グッドネーバーズ・ジャパンでは現在、今年の3月から、山岳地帯の1つであるカルナリ・プラデーシュ州のムグ郡にある公立小中学校計31校を対象に、衛生的な環境のもとで子どもたちが教育をうけられるよう水衛生環境を改善する事業を行っています学校

 

学校衛生についての講習の様子

 

 

 

事業チームのスタッフと

 

ムグ事務所を初めて訪問した時(写真右が佐藤)

 

 

さて、以前グッドネーバーズ・ジャパンのホームページで、ネパールの女子生徒の月経衛生事業についての記事を掲載しました。

記事では、ネパールの一部の地域に残る、月経期間中の女性を家と家族から隔離させるチャウパディ」という慣習について紹介しています。

 

その記事を書くにあたって、私はネパールにおける月経についての印象やチャウパディについて、現地の方からの聞き取りを行いました。

このブログでは、記事に書ききれなかった声をご紹介します!ニコニコ

 

月経やチャウパディに対する聞き取り結果

●普段使用している生理用品

・家にいるときには布ナプキン(ミシンで縫ったハンドメイドのもの)を使っているが、調査・仕事でフィールドに出る必要がある際は使い捨てのナプキンを使う。

(カトマンズ/20代女性)

 

・ストールを細くたたんだ布を肌に当てて経血を処理している、布ナプキンや使い捨ては使わない。

(ネパール東部/30代女性)

 

・使い捨てナプキンを使う。布ナプキンの作り方について(研修などで)習ったが、使い捨てナプキンのほうが経血の漏れがなく安心できる。

(ネパール西部タライ/20代女性)

 

・使い捨てナプキンを使う。布は使い勝手が悪く使わない。

(ネパール西部タライ/20代女性)

 

●月経教育について

・9年生(中学2年ごろ)にヘルスの授業で月経について教科書2ページ分くらいで学習した。男女一緒のカリキュラム。

(カトマンズ/20代後半女性)

 

・6年生でサイエンス・ヘルスの授業で月経等について学習した。男女一緒の授業カリキュラム。

(ネパール西部タライ/20代前半女性)

※ネパールでは、6年生までは「サイエンス・ヘルス」として理科と保健を一緒に学び、7年生からは「保健体育」と「理科」でそれぞれ分かれるそうです。

 

●「チャウパディ」や月経にまつわるタブーの経験

・初潮を迎えた際とその次の月経では母屋とは別棟の部屋で過ごした

(カトマンズ/20代後半女性/ヒンドゥ)

 

・初潮の際に別棟の部屋で過ごした

(ネパール東部/30代前半女性/ヒンドゥ)

 

・月経中に隔離部屋で過ごすことをはじめ、月経にまつわるタブーはまったくない

(ネパール西部タライ/20代女性/クリスチャン)

 

・月経に関するタブーはまったくない。

(ネパール中部タライ/20代後半/ブッディスト)

 

・月経に関するタブーはないが、出産直後の隔離の慣習(10日前後母屋内の個室に新生児と二人だけで過ごし、その間他者と接触は原則しない)がある。

(ネパール西部タライ/20代女性/クリスチャン)

 

●「チャウパディ」や月経にまつわるタブーについてどう感じているか

・(初潮迎えたばかりの)子どもの頃は自分の月経について恥ずかしく思って、月経のことを他者に伝えることに抵抗を感じていたが、今は慣れた。

(カトマンズ/20代後半女性)

※月経であることを母親などの近親者に伝え、そのうえで月経期間中に禁止されている生活習慣を行うことを防いでいる(月経期間中の行動禁止例:飲み水に触れる・調理する、祈りの部屋・台所に入室する、寺院に参る、目上の人または男性と食事を同じ部屋でとる,等)

 

・月経中であることを理由に様々な家事から逃れられるから特にいやだと感じていない(20代女性)

 

・初潮を迎えたとき離れですごすことに対し、父親は必要性がないとして母に対してたしなめたが母親は(神への畏れもあって)隔離で過ごすことをすすめた。自分が知る限り、月経隔離やタブーへの順守を勧めるのは女性側である。

(20代)

 

・月経中であることを他者に伝えることに小さなころは抵抗を感じていたが、現在は月経であることを自然に近親者に伝えてタブーを回避するようになった。むしろ生理中であることを(母親などに)だまって過ごすことに後ろめたさを感じる。

(20代女性)

 

・月経期間中のタブーは根底に神への畏れがある。特に年長者に対し、その習慣を変えるように強要することは難しい。習慣をまっこうから否定しそれを強制的に排除してもまたいずれ隔離小屋は作られる。それよりもむしろ、衛生的な隔離スペースの整備を進めることが一方では必要ではないか。

(40代男性)

 

 

このような声がありました。

 

この聞き取りで、宗教や住んでいる場所、年齢、性別によって月経に対する考え方や慣習がさまざまであることがわかりました。

そのため、「ネパールの女性のすべてがチャウパディを経験している」というわけではありません。

現地の状況を正しく理解するためには、さまざまな背景を持つ違った立場の方から意見を聞き、なによりも受け手である私が、できる限りフラットな状態でいる(偏見を持たないよう努める)ことが重要と感じました。

 

ホームページにも書きましたが・・・月経期間中の行動制約を受ける当事者や家族のなかには、この慣習を受け入れて生活しているように見られる人もいます。実際、私も以前ネパールでホームステイをしていた際に、月経期間中のタブーについてホストファミリーから教えを受け、それに倣った生活様式を実行していました。

しかし、少女が月経中に隔離された小屋で孤独と恐怖を感じながら過ごし、性的暴行や野生動物からの危害の危機にさらされ、寒い季節には、凍死する可能性や暖を取るために起こした火によって発生した一酸化炭素中毒の事故などが実際に起こっているという事実。私たちはこれを許容することはできないと考えます。

 

これからも、女性や子どもたちが自分自身に誇りをもち、性別や年齢、民族にかかわらずさまざまな方の意見が尊重される社会をつくっていくため、活動を続けていきたいと思います。

 

今回のブログは以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございましたキラキラ