ウクライナとルーマニアの国際女性デー | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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グッドネーバーズは、日本国内を含む世界40カ国以上で子ども支援、開発、緊急支援活動に取り組む国際NGOです。

 

こんにちは!ルーマニアに駐在している池田です。

ウクライナ及びモルドバとの国境近くにあるガラツィという都市で、ウクライナ難民支援事業を担当しています。

 

日本ではまだあまりなじみがない3月8日の国際女性(婦人)デーですが、ヨーロッパでは広くお祝いされている日で、グッドネーバーズ・ジャパンが支援しているウクライナや、事務所があるルーマニアもその例外ではありません。

 

 

【国際女性デーのはじまり】

 

この国際女性デー、起源は1908年のニューヨークの婦人参政権運動にあります。女性労働者100人以上が犠牲になった被服工場での火事が契機となってさらに運動が広がり、ヨーロッパで3月8日が「女性の政治的自由と平等のために闘う記念日」とされました。

 

ソ連では1917年の国際女性デーに合わせて行われた女性労働者のストライキから始まった運動が二月革命につながったことから、現在のロシアや旧ソ連の多くの国でも、国際女性デーは公式な祝日としてお祝いされています。(余談ですが、私が初めて「国際女性デー」という単語を聞いたのはロシア語の教科書だったのですが、このことを知って納得しました。)

 

ガラツィ事務所で一緒に働くスペイン人の同僚セバスチャンは、「スペインにいたときは、3月8日は女性の権利を求める運動やパレードに参加していた。みんなで集まって楽しんだり話し合ったりする、エンパワーされる一日だよ」と話してくれました。

 

最近では政治性を帯びない、単に女性に感謝を伝える日としてお祝いしている国も多いこの国際女性デーですが、もともと参政権や女性の権利向上を求める運動から始まった記念日とあり、それにちなんだイベントが開催される場所もあるようです。

 

さて、この記念日をどのように過ごしているのか、グッドネーバーズ・ルーマニア事務所の同僚や提携団体の職員たちに聞いてみました。

 

 

【ウクライナでのお祝い】

 

ウクライナでは国際女性デーは祝日で、男性から女性だけでなく、お母さん、おばあさん、学校の先生など、お世話になっている身のまわりの女性にお花やお菓子を渡して感謝を伝える日なのだそうです。また、日本と同じく、「母の日」は5月にあるそうですが、国際女性デーにはお母さん以外の女性も感謝を伝えられる対象になるとのこと。

 

 

ただし、2022年の戦争により非常事態宣言が出てから、記念日であることに変わりはないのですが、休日ではなくなったそうです。

 

ウクライナ人の同僚リュドミラに国際女性デーの心に残っている思い出を聞いてみたところ、子どものころ、お母さんに休んでもらいたくて、お掃除などの家事のお手伝いをしようと頑張ったことを覚えている、と話してくれました。

 

 

【ルーマニアでは3月8日は「母の日」】

 

春の訪れを感じる3月初旬は、ルーマニアでも特に女性たちが心待ちにしている時期です。ルーマニアでは3月8日は祝日ではないものの、記念日として広く認識されています。また、この日は母の日とされていて、パートナーや子どもといった近しい家族からお花やプレゼントが贈られるのだそうです。

 

ルーマニアに特有なのは、3月1日にも春の訪れのお祝いとして女性にお花やプレゼントを贈る習慣があることで、赤と白でよられたかざり紐を結んだ贈り物が渡されるそうです。この日にはクラスメート、同僚、兄弟、お父さん、さらには通りがかりの知らない人からもお花を贈られることがあるとか。

 

ルーマニア人の同僚ビアンカは、子どものころ、初めて自分のおこづかいでお母さんにプレゼントを買えるようになった年の国際女性デー(母の日)が心に残っているといいます。‘I love you’のメッセージの入ったマグカップをプレゼントしたそうで、お母さんはこのマグカップを今も大切に持っているそうです。

毎年手作りのメッセージカードにお母さんについての絵や詩を書いて贈っているそうで、3月8日は母子にとってとても大切な記念日であることがうかがえました。ビアンカによると、たとえ自宅のお庭から摘んだものであっても、プレゼントとしてお花があることが重要なのだそうです。

 

 

【避難先のルーマニアでの国際女性デー】

 

グッドネーバーズ・ジャパンが支援しているガラツィのウクライナ難民のための学校と難民センターでも、3月8日と9日にそれぞれ国際女性デー(母の日)のイベントが開催されました。

このイベントでは、ルーマニアとウクライナそれぞれの伝統的な歌やアクセサリーなどを用い、お花で作った冠を女性にプレゼントしたり、子どもたちが自作の詩や歌をお母さんに披露したり、先生たちにスピーチで感謝を伝えたりしました。

 

 

たくさんのハグやお祝いの言葉が飛び交う心に響くお祝いになり、自分たちは美しく、強く、そして愛されるべき存在であることを再確認できたと、提携団体ProVeritas(プロヴェリタス)の担当者アレクサンドラは言います。

 


 

国境を超える移動を強いられるストレスフルな環境下のなかで、ほんの束の間、ストレスから解放されるひと時を過ごせた人も多かったのではないでしょうか。

 

以上、国際女性デーの過ごし方についてお伝えしました。日本でも少しずつ認識されつつある国際女性デー、身の回りでどんなイベントや対話があるのかを知ったり、異なる国々での生活について思いをはせたりするきっかけにしていただけたらなと思います。