断食・・・からの!ルーマニアのクリスマス | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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こんにちは。GNJPの海外事業部でウクライナ事業を担当している吉野です。

現在、ウクライナの隣国ルーマニアに駐在し、食糧支援・医療支援などの調整を行っています。


ルーマニアはキリスト教徒の数が多い国です。キリスト教徒の方々にとって、もっとも重要な日のひとつがクリスマスです。ルーマニアでは、クリスマスの12月25日が国の祝日に指定されており、家族で集まったり、教会に集まったりして、みんなでクリスマスを過ごします。


(ルーマニア正教会のクリスマス礼拝の祭壇)

もしかしたら、ここまで読んで12月25日?本当に?と思われた方もいるかもしれません。

キリスト教の1つのグループである「東方正教会」では、クリスマスは12月25日ではなく1月7日にお祝いすることが有名です。

東方正教会の例としては、例えばエチオピア正教会、ロシア正教会、ウクライナ正教会、モルドバ正教会などがあげられます。これらの国では、伝統的にはクリスマスは1月7日にお祝いします。とはいえ最近では、若者を中心にこれらの国でも12月25日にクリスマスを祝う人もいます。特にウクライナやモルドバではロシアのウクライナ侵攻後、世代に関係なくロシアと同じ日にお祝いをすることへの忌避感から、1月のクリスマスではなくて12月のクリスマスを支持する人も増えています。

話をルーマニアに戻しますね。

実は、ルーマニアのキリスト教も「ルーマニア正教会」といい、正教会の系列に所属します。でも、ルーマニアでは1月7日にお祝いをすることはほとんどありません。あくまでも、12月25日です。同じ正教会ですが、クリスマスの日には違いがあるのです。


 
(クリスマスツリーやオーナメントは、一か月程度飾るのが一般的です)

もちろん「正教会」ならではの共通のこともあります。

 

それは「断食」です。日本では、断食というと健康や減量のためという人が多いかもしれません。

その一方で、世界には宗教のための断食を行う人もたくさんいます。ムスリムの断食「ラマダン」は有名ですね。実は東方正教会でも断食があります。日数は、どの正教会かによって違いますが、時期は「キリスト系にとって重要な日の前、何日間」のように決まっているので、重なりが一部あります。

 

ちなみにですが、私が知る限り、最も世界で断食の日数が多いのはエチオピア正教会です。1年(365日)の半分以上が断食の日です。そんなに断食して身体は大丈夫なの?と思うかもしれませんが、宗教の断食は、24時間全く何も食べないという完全な断食ではありません。例えば、日没以降は食べてよいとか、午後3時以降は食べてもよい、のように決められています。たとえば「午後3時以降は食品を口にしてもよいが、動物由来の食品は断食期間を通して食べてはいけない」のような形です。また、国・宗派にとっては、時間のルールはなく「その期間内は動物由来の食品を避ける」というルールが定められていたりします。

私が滞在しているルーマニアの断食はPostと呼ばれます。ルーマニアの断食では「期間中は動物由来の食品を食べない」という方法が一般的です。日本では最近、レストランで「ベジタリアンやヴィーガンの人向けのメニュー」があったりしますが、それと似たような感じで「Post用メニュー」がレストランでは用意されます。ルーマニアの断食期間の長さは、先ほど例にあげたエチオピアには及ばないものの、結構長めで、たとえばクリスマス前の断食は正式には11月15日から始まります。

とはいえ、正教会の断食は強制ではないですし期間のアレンジも可能です。最近では、期間を短縮して祝日直前の一週間だけ行うような人も増えている傾向にあると言われています。実際に、厳密にすべての動物由来食品、例えば「ミルク」「卵」まで避けるとなると、市販のお菓子なども食べられないので、40日も続けるのは結構大変です。

そして、この大変な断食の後のクリスマスのごちそうは、写真のように、とてもゴージャスです!家族や親しい人が集まって、みんなで楽しく時間を過ごします。打ち上げ花火をしたり、お酒を飲んだりして、にぎやかに過ごす人がルーマニアでは多めのようです。
 


(とても豪華なクリスマスの食事)
  
今回は、ルーマニアのクリスマスについて、日付のことや、断食のこととともにお伝えしました。

面白かったこと、もっと知りたいことなど、是非コメントで教えてください!

 

 

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