グッドネーバーズ・チャドのスタッフ、フローレンスです。
アドゥムは、チャドのファシャアテレに父親、母親、兄弟1人と一緒に暮らしています。
前向きな性格の中等教育課程校の1年生です。
一番大切にしていることは、幸せでいることで、将来の夢は医者になることだそうです。

チャドはアフリカ大陸中央部に位置し、海に面していない内陸国です。
国旗の中央にある黄色は太陽や砂漠を表しています。
国土の約3分の2は砂漠地帯で、特に北部は広大なサハラ砂漠の一部となっています。
そのような乾燥地帯の北部には、意外にもチャド初の世界遺産として登録された「ウニアンガ湖群」と呼ばれる18の湖があります。

今回は、ファシャアテレ地域に両親、兄弟1人、姉妹3人と暮らすアハマット君(写真中央)を紹介します。
一家は経済的に非常に厳しい環境にあり、耐久性のある家を建てる資金がなく、現在は藁でできた簡易的な住居で暮らしています。
藁束の家は強風でたびたび倒壊し、そのたびに建て直さなければなりません。
父親の月収はチャドの平均を下回り、常に7500円以下。
農作業だけが収入源ですが、天候に大きく左右され、安定した生活を送るのは困難な状況です。

後発開発途上国のひとつに数えられるチャド。
新型コロナウイルスのパンデミックや国内の武力紛争などの影響を受けて状況はさらに深刻化しています。
国全体の貧困率は44.8％と非常に高い状態です(World Bank, 2022)。
グッドネーバーズでは、アハマット君のように経済的に困難な状況にある子どもたちが安心して学校に通い、健やかに成長できるよう、スタッフが定期的に家庭を訪問し、生活状況を見守っています。

私たちは、韓国出身の俳優・歌手、故パク・ヨンハさんが2010年にファシャアテレ地域に設立した学校(通称：ヨナスクール)を支援しています。
ヨナスクールは小・中学校に相当し、教育だけでなく、地域の人々へ向けたサービスも提供するため保健センターが併設されています。

アハマット君が通うヨナスクールでは、2024年時点で788名の児童・生徒が学んでいます。
この地域で初めての学校として開校されてから、子どもたちは学校に通う習慣ができ、性別に関係なく積極的に発言するようになりました。
その他にも学用品や学費の支援を行い、子どもたちが継続的に学習できる体制を整えています。

また、ヨナスクールには子どもたちへの教育だけでなく、地域の人々へ向けたサービスも提供するため、保健センターが併設されています。
ここでは、診察や治療だけではなく、検査や予防接種、妊婦健診などを受けることができます。
写真の女の子は、マラリアの治療を受けています。

私は、2015年から経理担当としてグッドネーバーズ・チャドで働いています。
誰かのために尽くすことは、人生で最も価値のあることです。
グッドネーバーズはそのような想いのもと、支援活動を行っています。
皆さまのご支援のおかげで、こうした活動が子どもたちの生活に良い影響をもたらしています。